【ロングインタビュー】カルロ・アンチェロッティ、勝者の戦術論(中編)

2013年06月27日(Thu)11時04分配信

text by クリスティアーノ・ルイウ photo Kazhito Yamada / Kaz Photography
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何度も失敗を重ねながら戦術的な哲学は研ぎ澄まされる

――確かに功績の大半が選手たちにあるとはいえ、しかるべき監督の力量なくしてあれだけの勝利を積み重ねることはできなかったはず。そして、その力量という意味で特筆すべきはアンチェロッティという監督の“柔軟性”。アリゴ・サッキの助監督ゆえに4-4-2派としてキャリアをスタートし、しかし後にあのミラン全盛を築くうえで原動力となった“クリスマスツリー”つまり4-3-2-1へと変化し、主力がカカになると4-3-1-2へ、そしてチェルシーに活躍の場を移してからは再び4-4-2。臨機応変にシステムを使い分けてきたと言えるはずですが、その監督の戦術的な哲学とは?

パリサンジェルマン
フランスリーグのリーグ・アンでは優勝へと導いた【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

「常に変化し続ける欧州の戦術的傾向に沿って、またはそれに先行する形で更新を続けてきた。と同時に、当然のことながら、その時々のチーム事情を見極め、最も効率的に選手たちの能力を引き出すための術を模索し続けてきた。そうした弛まぬ努力の結果として君が挙げてくれたような変化を可能にできたのだと思っている。

 もちろん、何度も何度も失敗を重ねながら。たとえばパルマ時代には、あの4-4-2の中でジャンフランコ・ゾラという天才を外してしまうという決断を下しているし、ユベントスに移ってからの私は、98-99シーズン、あのティエリ・アンリを右のウイングで使うという大失敗を犯している。あれこそが私の監督としてのキャリアで最大の汚点だ。

 だが、そうした経験を重ねる中で私は、同じくユベントスで、あのジネディーヌ・ジダンという偉大なプレーヤーを指揮下に置くことで、それまでの考え方を根本的に見直し、そして改めることができた。1人の天才プレーヤーを軸にチームを作り上げるという考え方を学んだわけだよ。それだけでなく、正真正銘の“10番”を中盤に置くという、以前には持ち得なかった策を自分のものとすることができた。だからこそ後のミランで2人、のみならず3、4人もの10番たち――ピルロとセードルフ、ルイ・コスタとリバウド――を私は同時に起用することになる。つまり、それこそが“クリスマスツリー”の4-3-2-1。

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