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チームの若返りを企図するイタリア代表。過酷な日程の中、コンフェデ3位の成績を残せた理由とは?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ブッフォンが3本のPKを止め、イタリアが勝利

吉田麻也は“世界との差”をどう感じたのか?
ブッフォンが3度のPKストップに成功【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 スアレスとキエッリーニが激しくぶつかり合う機会も増えてくるが、それと同時にイタリアの足が止まって行く。そして後半13分、ついに同点に。中盤の激しいボール奪取からガルガーノが抜け出して前線にスルーパス。これを自慢の走力を利して裏に出たカバーニが決めた。

 これで試合はウルグアイの逆転で終わるかとも思われたが、過酷な状況の中で美技が飛び出し、試合はなおも激しく動いた。

 28分、イタリアが劣勢の中で得たFKのチャンスに、ボローニャで活躍するファンタジスタのディアマンティが、極めて高い精度のキックを直接ゴール右下に叩き込んでリードに成功。するとその5分後、今度はカバーニが直接FKを決めて同点に。今季、所属のナポリでは度々FKを任されて直接ゴールに成功していたが、まさにその通りの精度を見せていた。

 そしてここからは、両チームの守備が高い集中力を見せた。イタリアのアタッカー陣に裏を狙われるも、最後のところで足が伸びてシュートを許さないウルグアイのSB陣。一方イタリアの守備陣も、モントリーボの退場で劣勢となるも集中してゴール前を固める。結局試合はPK戦に突入し、ブッフォンが3度のPKストップに成功。スペイン戦では運がなかったイタリアが、今度は微笑んだ。

 こうして大会は終了。大会前はコンディションが整わず、大会突入後は過密日程と高温多湿な気候に苦しめられたイタリアは、4強進出という当初の目標を達成した。ベテランが抜け、中堅から若手へと移行中のさなか、多彩なフォーメーションの運用と精神的な粘りを見せられたことは、今後への収穫となるだろう。

 そして彼らの戦いぶりからは、1年後のW杯を占う上で参考になる点もあった。ブラジルでは会場間の移動距離が1000kmを超えることもざらで、さらに気候が過酷な条件では、ポゼッションやハイプレスといった戦術を実践する上で不可欠な走力、またはそのためのコンディショニングが確保しにくい。それをどうフォローするのか。

 イタリアの場合は多彩なフォーメーション変更で対応したが、選手層の厚さも含め、戦い方の幅をチームとして有するかどうかが、勝ち進む上で重要なファクターとなりそうだ。

【了】

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