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元伊代表監督ドナドーニが日本代表を分析。イタリア戦で日本に唯一欠けていたものとは?

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

試合を決めるのは些細なこと

――とはいえ、繰り返しになりますが、圧倒的にゲームを支配しながら日本は勝利を手にすることができなかった。しかも2点を先制したにもかかわらず日本は勝てなかった。とすれば、やはりその技術・戦術的な理由は検証されるべきだと思うのですが。

「うーん、まぁ確かにそれはその通りなんだろうが……それでも、日本代表は後半に入っても数多くの得点機を作っているし、実際にポストやクロスバーを叩いたのも一度じゃない。

 なので、やはり私としては例のイタリア人選手たちのコメントに依拠すべきだと思うんだよ。あのポストとクロスバーだけじゃない、仮にあの長谷部のミドルが決まっていればとか、あのイタリアに与えられたPKの真偽はいかに、など。

 そんなことを後に語るのは無意味だとはもちろん知っているんだが、でも現実には、そうした“ほんの数センチ”であったり些細な“コトガラ”が試合を決めるというのが真実なのだから。

 つまり、あの試合に関しては無理に敗因とやらを論理的に見出そうとする必要はないとさえ思うんだよ。もちろん、その作業をすべて否定するわけではないんだが。

 しかし、この私も一応は現役の監督だからね(笑)、あえて君の質問に答えるとすれば、それは唯一、いわゆる“狡猾さ”という巧さに日本代表は欠けていたとなるのだろうか。もちろん、それは特に守備の局面を指すんだが、表向きの形(システム)を変えずとも、その目視できない内面(考え方)を微妙に変化させる、とかね。

 つまり、あの布陣(4-2-3-1)を維持するのはいいとしても、2-0の場面でやはり選手たちは各自が胸の内にある“攻と守の比率”をね、やや後者の側に引き寄せる必要があったのだろう、と。もちろん、その意識の変化は自発的でなければならない」

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