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元伊代表監督ドナドーニが日本代表を分析。イタリア戦で日本に唯一欠けていたものとは?

コンフェデの日本代表をエキスパートはどう見たのか? 元イタリア代表監督にして現在はパルマで指揮を執るロベルト・ドナドーニ氏に話を聞いた。識者が対アズーリを分析する。(翻訳・構成:宮崎隆司)

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

日本がイタリアに敗れた要因は?

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長谷部と競り合うジャッケリーニ【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

――まずは“あの激闘「日本vsイタリア」”に関する監督の見解を伺いたい。スコアは4対3。圧倒的にゲームを支配するも、しかし日本は敗れてしまった。最たる敗因はどこにあると言えるのでしょうか?

「このインタビューは最も難しい質問から始まるってことだね(笑)。とにかく、ここで君が言う“最たる要因”なるものはきっと誰にも分からない、と。これが私の率直な思いということになる。

 こう言ってしまえば身も蓋もないようだが、サッカーとは往々にして“そういうもの”なんだよ。私も現役時代、当時にしてまさに世界最強とまで言われたミランの一員だったんだが、絶対に負けるはずのない相手に負けたことも少なくはないし、監督となってからもまた予想し得ない結果の連続だったとも言えるわけでね。

 もちろん、勝てる試合を、勝つべき試合を落としたことは数えきれないほどある…(笑)。要は、何が起こるか分からない。それがサッカーであり、それこそがサッカーという競技に世界中の人々が魅了される理由なんだと思うんだよ。

 その上で、“あの試合”に関して言えば、それはもうやっぱり試合後のイタリア人選手たちの言葉がすべてを物語っていると思うんだよね。なかでも印象に残るのがジャッケッリーニのこの言葉。

『イタリアが勝つべき試合ではなかった。勝てたのは、運に恵まれたに過ぎない』

 もちろん、彼だけでなく他の選手たちすべてが同じように語っているんだが、元代表の一人として言えるのは、こうした実際のピッチで戦った選手たちが試合の直後に余韻さめやらぬなかで漏らす言葉にこそ真実があるということ。

 もちろん時にはそこに社交辞令的なモノもあるのだろうが、あの試合後に関してイタリア人選手たちの言葉に偽りは一切ないと明言できる。なぜなら、他ならぬこの私も彼らと同じように考えるからだ。勝つべきは日本だった。そう言って何ら間違いじゃないと思うんだよ」

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