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圧倒的な才能を見せつけた久保くん。“日本のメッシ”はバルサのトップまで上がることが出来るのか?

text by 川端暁彦

「世界との差」は本当に大きいのか?

 さらに、バルセロナの来日メンバー23名の内11名が1月~3月の生まれであり(ちなみに、久保は6月生まれである)、日本で言う“中学1年生”に当たる年代だったことは留意しておくべきだろう。

「この年代で3カ月の差は本当に大きいんです。セレクションをすると、極端に出生月が偏るくらいにね。『世界との差』を言う前に、その差をまず知っておいてほしい」(吉田ダイレクター)

 もっとも、「幸い」と言うべきか、この結果に心を折られた指導者はいなかった。東京ヴェルディのコーチ陣は口をそろえて「5、6年後を観ていてください」と語り、吉田ダイレクターは「今度はあいつらをぶっ倒しに(欧州へ)行ってやりますよ! そんな差なんて存在しないってところを見せてやります」と断言してくれた。

 実際に何度もぶっ倒しているレイソルの吉田氏が言うと説得力が違うし、「海外に出なければ選手が育たないなんてことは絶対にない。日本でも選手を育てられるんだというところを見せてやりたい」(吉田ダイレクター)という言葉が聞けたのは頼もしかったし、うれしくもあった。実のところ、これもまた(恐らく当事者は想像だにしていない)“久保効果”の一つの形なのだろう。

 私の周りではこの大会を観て日本サッカーの未来を悲観した方が少なからずいたのだけれど、個人的な感触は逆だった。

 海の外へ飛び出していく才能ある若者がいて、バルセロナの凄さを目の当たりにしてなおそこへ挑戦して倒さんとする気概を失わない指導者が国内にいる。両方が現場にあるのだから、日本サッカーはまだまだ成長していくに違いない。そう確信できた大会だった。

【了】

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