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圧倒的な才能を見せつけた久保くん。“日本のメッシ”はバルサのトップまで上がることが出来るのか?

text by 川端暁彦

忘れてはならない「世界選抜vs地域選抜」という現実

 こう考えていくと、このバルセロナとの結果のみにフォーカスしてしまうのは危険だということも再認識できるのではないか。

 環境が違う、練習が違うというのはそれぞれ一理あるし、確かに攻守で素晴らしいチームでもあったのだけれど、そもそも「集めている才能が違う」という根本がある。

 世界から選抜されているチームと、東京なり千葉なりのローカルで選抜されたチームでタレント性に大きな差があるのは無理もないのだ。それは「世界との差」というマジックワードで安直に説明されるべきではない。

 また、柏の吉田ダイレクターは「こういう大会で積める経験は本当に貴重なもので、ありがたいこと。ゴール前の質など、学ぶべき点はたくさんあった。だが、この結果をもって、変に日本の子供にコンプレックスを植え付けるような報道をしてもらいたくない。彼らがいるのは、雲の上でも何でもない。そこまでの“差”は絶対にない」と強調する。

 たしかに酷暑の中で1日2試合を戦う日程は、日本チームにとって不利だった。バルセロナは年長の年代だけで23人中22人をそろえていたが、日本は6年生だけで23人も抱え込んでいるクラブなどまずいない。

 絶対的な人数が足りず、東京Vや柏は食あたりまで発生して離脱者が出るなどツキもなかった。東京Vは大敗した準決勝で前半をスコアレスでもちこたえたが、相手がメンバーをほぼ入れ替えた後半はスタミナ切れで苦杯。もちろん技術的、フィジカル的な差はあったが、大差のついた理由が「選手層」だったのも一面の事実である。

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