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Jリーグ 11年前

試合の分岐点は“50分”。過密日程だけでない、柏が広州に大敗した要因

text by 鈴木潤 photo by Kenzaburo Matsuoka

大きかったキャプテン・大谷秀和の欠場

田中順也
田中順也は「攻め急ぎすぎた」と敗因を語っている【写真:松岡健三郎】

 ただ、鈴木大輔が「苦しい時間帯には前の選手を引かせて、ブロックを作って対応してもよかったかもしれない」と語るように、足が止まり、劣勢の時間帯では、柏も意志統一ができていなかったようにも見える。

 田中順也は「攻め急ぎすぎた」と敗因を語っている。おそらく攻撃陣としては、広州の守備陣には突け入るスペースがあり、前半から何度もチャンスを作れたという手応えがあったに違いない。

 後半の早い時間帯で2点目を奪い、楽に試合を進めるためにも攻撃陣は裏のスペースへ駆け上がった。しかし、足が止まり始めたことで、後方はラインを押し上げられず、前半のようなコンパクトな陣形を維持できなくなっていく。

 前へ行きたい攻撃陣と押し上げられない守備陣。間延びした状況で不用意な形でボール失うと、攻撃陣も帰陣するには距離が開き過ぎ、相手を追えなくなる。しかもこの日は、キャプテンで柏の戦術上のキーマンである大谷秀和を出場停止で欠いた。

 普段ならば大谷の指示によって、攻め急ぐ攻撃陣を落ち着かせ、守備ブロックを作るなどして対応するのだが、大谷の不在もまた、試合運びの面で影響を与えたと言わざるを得ない。

 しかし終盤の2失点は、明らかに集中力の欠如とミスが原因であり、このつまらない失点こそ防ぎようはあったと思う。この2失点が重く圧し掛かり、柏は第2戦ではアウェイの地で4点以上を奪い、3点差以上をつけて勝たなければ決勝へは進めないという窮地に立たされた。

【了】

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