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日本代表 11年前

結果を残せなかった“なでしこ新戦力”。女子サッカー底上げのために求められること

text by 馬見新拓郎 photo by Asuka Kudo / Football Channel

重要な日々の意識

 山根から岩清水へのパスは、結果的には成功した。しかしこれが五輪決勝の、同じく試合終了間際というシーンではどうか。

 アメリカ女子代表のモーガンであれば、コロコロと転がるパスを勢いよく奪い、次の瞬間にはなでしこのゴールに彼女のシュートが突き刺さっているだろう。岩清水はこのシーンが想像できるからこそ、相手に取られかねないパスボールを蹴ってはならないと後輩に伝えたと思われる。

 経験の差を嘆きたいわけではない。ここをどうカバーしていくのかが問題だ。カギは、『意識』ではないだろうか。佐々木監督の言葉を繰り返す。

「球際の深さで言うと、大儀見や澤なんかは、深いチャージが習慣になっている」

 練習場で、1本のパス、1プレーごとのポジショニング、絶対に相手にボールを触れさせないキープにこだわること。これを、代表戦だけではなく、女子W杯の優勝エンブレムをつけていない時にでも意識しながら習慣づけてできるか。五輪決勝を想像しながら毎日の練習に励めるか。

 これは本当に難しいことであるし、だからこそ世界の頂点は難しい。しかし日本には有利な面として、その世界の厳しさを伝えられる選手がいるのも事実だ。

 練習場だけではない。女子代表では、U-23日本女子代表とU-19日本女子代表の活動が控えており、アジアを舞台にした真剣勝負が待っている。特に今回のなでしこの活動に参加した選手は、ここで早速“経験の差”を示してほしい。

【了】

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