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「中村俊輔は睡眠薬を使用してでも調整した」韓国代表コーチが提言する、代表で結果を出すための高い意識

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel

代表の流儀を押し付けるのは間違い

 代表の活動は非常に短いため、代表コーチのできる仕事は限られている。それゆえ、彼らは選手たちの日々の努力を尊重しつつ、足りない部分があればサポートするのが基本スタンスだ。

 世界を見渡せば、代表コーチが選手個々に練習メニューを渡してレベルアップを図る例もあるようだが、それがクラブの方向性とかけ離れていれば、逆に選手にマイナスに作用しかねない。そういう越権行為は行うべきではないと池田氏は考えている。

「各クラブにもコンディショニングを司るコーチはいるし、それぞれの考えに基づいて練習を行っているのだから、代表コーチが一方的に何かを押し付けるような行動を取るのは間違っている。

 クラブのフィジコとコミュニケーションを取りながら『こういう強化も盛り込んでもらえたら助かる』とお願いするのはあり得ることだけど、代表の流儀が全てといったスタンスを取るのは絶対にダメですね。

 もちろん我々代表スタッフも、クラブでどんな練習をしているのかを選手から聞き、補足的なアドバイスはしますが、現場のコーチをリスペクトしてもらうのが第一。トレーニングというのはやはり前向きにやってこそ効果が出るものなんです。余計な知識を植え付けることで損失を招くケースも多いというのを我々は再認識すべきでしょう」

 池田氏の話は日本人選手たちも参考にできる部分は大いにある。強い日本サッカーを作るためにもこの話に耳を傾けてほしいものだ。

【了】

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はじめて韓国代表として日本と対戦し、「君が代」を韓国のベンチで聞き、迷いながらも韓国代表とともに全力を尽くす決意をした。

岡田武史や洪明甫(ホン・ミョンボ)といった、日韓の名将から絶大な信頼を得るフィジカルコーチがはじめて語る、ロンドン五輪日韓戦の根底にある真実、葛藤、そして、アジアサッカーの強化が日本サッカーの強化に繋がるという思いを一冊に描く。

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