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連載コラム 11年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。監督ドゥンガはなぜロナウジーニョを外したのか?

サッカーにおける“自主性”とは何か?

「一番大切なことは、いつもシンプルだ。正直にチームの力となるメンバーを選ぶこと。常にどの選手に対しても平等で、チームの中に競争原理を持ち込むことだ。22人の代表を招集して、調子のいい11人を先発起用する。出来の悪い選手がいれば、控えの選手と交代させる。

 控えの選手は、その時が来るまで我慢強く待たなければならない。僕はすべての選手に門戸を広げている。セレソンですでに実績のある選手がいる。彼らをまず優先的に起用する。それ以外の選手は順番を待たなければならない」

 代表の選手たちが行動を共にする時間は限られている。まず、ドゥンガは遠征、合宿の宿泊で個室を廃止した。選手たちが個室に閉じこもっていると皆で行動している意味がない。ピッチ以外の時間をみなで共有し、様々な話をすることがチームをまとめることになるとドゥンガは考えていた。

「なるべく選手たちとコミュニケーションをとることを心がけている。クラブではどのような状況なのか。今の調子はどうなのかということから、人間性、性格を把握しようとしている。サッカーにはピッチ外のことが反映するからね」

 ドゥンガが理想とするのは「自主性があり、自分の長所を出そうと必死でプレーする選手」である。

 自主性とはブラジルで良く使う言葉である。サッカーには試合の流れというものがある。その流れを読んで、戦い方を変えられる選手と言い換えていい。

 2006年W杯ドイツ大会のブラジル代表は、史上最強という呼び声が高かった。ロナウジーニョ、カカ、ロビーニョ、アドリアーノ、そしてロナウド。彼ら攻撃陣は、世界の最高の選手たちであった。彼らは自主性のある選手であった。

 しかし――。

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