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ブンデスリーガはなぜ優秀な選手が育つのか? 驚異の育成システムに迫る

text by 編集部 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「いい加減な育成をしていると苦しい戦いを強いられることになる」

 また二つ目として、ブンデスリーガの各クラブは、ドイツサッカー連盟管轄のユースアカデミー出身者を8人以上所属させる必要があります。ユースアカデミー出身者の定義とは、ドイツサッカー連盟に15歳から21歳まで3年以上所属した選手。

 例えば、25人のトップチームの場合、そのうち8人がドイツサッカー連盟管轄の育成組織から育った選手が所属しなければなりません。ですから、ドイツ全体としてきちんと子どもたちを育てないといけないようになります。

 さらに三つ目として、トップチームには各クラブの育成機関から4人以上を所属させる必要もあります。これはトップチームを強化すればいいというわけではなく、そのなかにクラブが自分たちで育てた選手を4人所属させなければいけないので、いい加減な育成をしていると、例えば、トップチーム25人中4人は戦力にならず、かなり苦しい戦いを強いられることになるのです。

 ドルトムントが10人もの優秀な若い選手を育てたときに、4人はトップに行けるはずだとしても、前年や前々年にトップチームに入ったクラブ出身のユースアカデミー出身者がいる場合もあるので、その時点で全員は昇格できません。

 でも、ドイツサッカー連盟管轄の組織から輩出された選手として他のクラブが必要とする場合があるので、例えば、ドルトムントからレベルを少しだけ下げるとしても、他クラブへ移ることでプロになれる仕組みができているのです。

 こういった仕組みづくりをブンデスリーガが中心となって構築しました。その結果がエジル、ケディラ、トーマス・ミュラーなど2010年W杯でブレイクして今では代表の主力になったような選手の育成につながったのです」

【了】

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