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欧州サッカーの勢力地図が変わるか。赤字経営の禁止、ビッグクラブに影響大の“ファイナンシャルフェアプレー”制度とは?

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

育成やスタジアムに関する費用はカウントされない

・違反クラブは欧州大陸大会(CL、EL)の出場資格を剥奪

 上記の基準を満たしていないクラブに対しては、UEFAクラブライセンスを発行しないという制裁を与える。つまり、例えチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)への出場権を獲得しても大会への参加が認められないのだ。

 この措置は、各クラブにとって大きな打撃となる。特にCLによって得られる利益は莫大であり、クラブの運営に直接的な影響を与えている。さらに、出場権の有無は有力選手が移籍を決断する決め手にもなっている。

・例外として、育成や施設への投資はカウントせず

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多くの主力を放出したマラガ【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 サッカークラブの本質である育成に関わる投資や、スタジアム、練習場など施設を整備するための支出は別会計としてカウントされる。

 目先の結果を求めるクラブは、真っ先にこれらへの投資を取りやめてしまう可能性が高い。そうすれば、選手育成が滞ることになり、長期的に見てサッカー界の衰退につながる。さらに、スタジアムの老朽化が進めば、観客の安全面に不安が生じてしまうのだ。

 そして、FFP導入による影響は、既に多くのクラブに問題をもたらしている。

 リーガ・エスパニョーラのマラガは、2010年にカタール王族のアル・タニ氏がオーナーに就任すると、有力選手を次々と獲得。12-13シーズンにはCL初出場を果たすも、そのシーズン中に移籍金や選手への給与未払いが表面化。翌13-14シーズンのEL出場権を獲得したものの、UEFAによって剥奪。主力選手の多くが移籍を余儀なくされた。

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