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肩書きはレジェンド。ダーヴィッツが語った本田圭佑に必要なこと

text by 平床大輔 photo by J SPORTS

名刺不要の男が語った本田に必要なこと

肩書きはレジェンド。ダーヴィッツが語った本田圭佑に必要なこと
ユヴェントスの若き会長、アンドレア・アニェッリ【写真:J SPORTS】

 さて、本題のインタビューであるが、これはアニェッリ氏とダーヴィッツが同席する形で行われた。収録時間は確か20分少々だったと思うが、ユヴェントスというクラブが、クラブの会長と元選手という全く異なった視点から語られたこの数十分は実に濃密なものであった。

 インタビューの冒頭、今回のエドガーの役割を教えてくださいと問われた会長は、「彼の肩書きは“レジェンド”です」という趣旨の答えを返した。象徴としてのレジェンドではなく、肩書きとしてレジェンドという看板を背負っているのである、今のダーヴィッツは。

 ということは、ダーヴィッツと名刺交換をすると、そこには“レジェンド”と刻印されているはずで、これはとんでもないことになっている。何でも会長によると、「我々は“ユヴェントス・レジェンド”というプラットフォームを一年ほど前に立ち上げ、今回のエドガーもその一貫です」というようなことを仰っていた。

 ダーヴィッツ本人も、「やれることは限られているが、全力を尽くしてユヴェントスの持っているエネルギーを伝えてゆきたい」とのことであった。はい、もう、そのエネルギーは十分に伝わっています。どうやら、“レジェンド”エドガー・ダーヴィッツに名刺は不要のようである。

 日本で行われているインタビューということで、話は当然、イタリアでプレイする日本人選手に及ぶ。本田はイタリアで苦しんでいるようですが、彼には何が必要かという問いに対し、ダーヴィッツは“embrace”という単語を使い、「イタリアの文化を受け入れなくてはならないし、できるだけ早くイタリア語を喋れるようにしないといけない」と語った。

 日本語に訳してしまうと平板なコメントになってしまうが、“embrace”という言葉に、これまでダーヴィッツがトリノやロンドン、そしてキャリアの晩年を選手権監督として過ごしたバーネットの地で傾けてきたのであろう積極的な愛情と情熱を感じ取ることができた。

 確かに、インテルで不動の地位を確立した長友には愛情の積極性を感じる(だからといって、本田がどうこうという比較論ではないですよ、念のため)。

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