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ルイス・エンリケ 最適解を導き出す信念と信頼のリーダーシップ

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バルセロナの現監督、ルイス・エンリケ初の評伝。
現役選手時代から監督としてFCバルセロナで三冠を達成するまでの彼の道筋を辿っていく。

 プロローグは嫌いだ。プロローグを読むことも、プロローグを書くことも嫌いだ。しかし、友人の頼みとあれば断るわけにはいかないので、書くことにしよう。

 私はルイス・エンリケと面識がないが、そんなことは大したことではない。実際問題、誰もが彼を“知っている”のだから。人は面識のない人間をどのように知ることになるのだろうか?

 この命題こそ、サッカーの楽しみを教えてくれるエンリケのようなサッカー人を前にした時に、確実に我々が直面するものなのだ。

 もし明日、あなたが街を歩いていて突然ルイス・エンリケに出会ったとすれば、あなたは彼がバルサでプレーしていた当時以来の知り合いであるかのような感覚で彼に挨拶することだろう。また、あなたは彼も自分のことを知ってくれていると信じこむだろう。挨拶する時の表情は本当の知り合いであるかのようなものであるはずだ。

 ルイス・エンリケのことは個人的にはよく知らないが、まだ監督の顔を見せてない監督として、傲慢な表現になるかもしれないが評価を試みる。

(中略)

 長いプロローグを書いてしまう人間というのは実は著者に対して妬みを持っているのではないかと勘ぐってしまう。だからこそ、プロローグなど必要ないと思うし、そんなものは著者自身が書けばいいのだ。

 最後に、著者であり知人のルイス・ラインスは、等身大のルイス・エンリケをよく知っている。私はまだ監督の顔を持っていないと感じているが、そのポートレートを描くことができるのは彼が丹念に描いたルイス・エンリケの評伝があったからだ。

 おせっかいかもしれないが、一つ皆さんにはアドバイスしておきたい。この本の中に散りばめられた文脈の意味や各章の冒頭にあるフレーズを注意深く読み取って欲しい。著者は数多くのディテールや真実をそこに埋め込んでいる。

(マルティ・パラルナウによるまえがき)

【目次】
第1章 異彩を放つサッカー選手
第2章 サッカーから離れた生活
第3章 恩師たち
第4章 バルサBでの快進撃
第5章 トッティという問題
第6章 再びサッカーを離れた1年間
第7章 セルタのやぐら
第8章 情報漏洩したバルサとの交渉
第9章 エンリケのスタッフたち
第10章 意図のある言明
第11章 マニュアル通りの補強
第12章 チャビの復活
第13章 バルサのプレーモデル改革
第14章 プロとしてのディシプリン
第15章 メッシとの確執?
第16章 友情の崇高さ
第17章 メディアとの相容れない関係
第18章 見出された最適解
第19章 就任初年度での三冠達成
監訳者あとがき
ルイス・エンリケ戦績

著者 リュイス・ラインス
1954年、バルセロナ生まれ。『ラ・バングアルディア』、『アス』の元編集員。1996年から2010年までFCバルセロナでテクニカルスタッフとして働き、ロブソン、ファン・ハール、セラ・フェレール、レシャック、アンティッチ、ライカールといった監督に従事する傍ら、強化部スタッフの仕事を兼任する。現在は、ジャーナリスト、コメンテーターとして『カタルーニャ・ラジオ』、『ラジオ・マルカ』、『ゴルTV』といったメディアで活動する。著書に『De puertas adentro』、『Puyol』がある。

監訳 小澤一郎
1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学卒業後、社会人経験を経て渡西。バレンシアで5年間活動し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、指導者目線の戦術・育成論やインタビューを得意とする。多数の媒体に執筆する傍ら、サッカー関連のイベントやラジオ、テレビ番組への出演や解説もこなす。著書に『サッカー日本代表の育て方』(朝日新聞出版)、『サッカー選手の正しい売り方』(カンゼン)、『アギーレ 言葉の魔術師』(ぱる出版)、『日本はバルサを超えられるか』(河出書房新社)、訳書に『ネイマール 若き英雄』(実業之日本社)、『SHOW ME THE MONEY! ビジネスを勝利に導くFCバルセロナのマーケティング実践講座』(ソル・メディア)、『モウリーニョvsグアルディオラ』(ベースボールマガジン社)、構成書に『サッカーの新しい教科書』(カンゼン)など。株式会社アレナトーレ所属。

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