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最も選手の価値を向上させるクラブはどこか? 欧州主要クラブを徹底比較

シリーズ:最も選手の価値を向上させるクラブはどこか text by Keiske Horie photo by Getty Images

考慮すべき要素

 今回の計測方法では、いくつか考慮すべき要素が存在する。

1)イングランド・プレミアリーグに移籍した選手は自動的に市場価値が上昇する

 現在、世界で最も資金力の高いリーグとなっているプレミアリーグは、市場価格以上の価格で選手を獲得することがほとんどである。そのため、実際に成立した移籍金に引っ張られる形で、ほぼ全ての選手が移籍成立と同時に市場価値が上昇する。

 また、年俸も他国クラブと比較すると非常に高額であることも市場価値の上昇を助けている。そのため、プレミアリーグのクラブは選手の価値を上昇させやすくなっている環境が整っている。

 それでも、チェルシーの「+1億7237万ユーロ」という数字は驚異的で、同クラブの価値を向上させる能力の高さを表している。

2)キャリアのピークで獲得し、晩年まで該当クラブでプレーした選手の存在

 当然のことであるが、選手は年齢を重ねるごとに市場価値が減少していく。そのため、キャリアのピークで獲得した選手が晩年まで該当クラブでプレーした場合は結果としては「-」という数字となる。

 例としては、パリ・サンジェルマン(PSG)のズラタン・イブラヒモビッチが挙げられる。同選手は30歳となる年にPSGに加入、34歳である今も同クラブに所属している。そのため、市場価値は2200万ユーロ下落しているが、これはPSGがイブラヒモビッチを生かすことができなかったことは意味しない。

3)下部組織出身の選手は対象としていない

 今回の分析は下部組織出身の選手は対象としていない。そのため、該当期間に大きく価値を向上させた選手であっても数値としては反映されていない。例としてはラヒーム・スターリング、アドナン・ヤヌザイ、セルジ・ロベルト、チーロ・インモービレといった選手が挙げられる。

【次ページ】各クラブの個別分析
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