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アーセナルはどう生まれ変わるのか? 夏の補強をチェック。エメリ新監督の兵法を読む【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

エメリ新監督が好む戦術とは?

 さて、バレンシア、セビージャ、PSGなど、新しいボスは4-3-3を基本にしてきた。エメリは「ひとつの闘い方にこだわらず、臨機応変に」とも語っているが、これまでに培ってきたベーシックな陣形を崩すとは思えない。さらにビルドアップする際は両サイドバックが高めにポジションをとり、中盤センターが2人のセンターバックの間に降りてビルドアップに関与するパターンを好んで用いてきた。

 したがって攻撃の舵取りは新戦力のルーカス・トレイラ、もしくはグラニト・ジャカが務める公算が大きい、と考えていいだろう。なおかつセンターバックの一角には、カラム・チェンバースが大抜てきされるという情報が飛び込んできた。

 プレシーズンマッチなどでエメリの目に止まった23歳のDFが、プレミアリーグ開幕戦のマンチェスター・シティ戦でスタメン起用。GKにベルント・レノ、センターバックはチェンバース、ソクラティス・パパスタソプーロスと、守備陣の中央がほとんどニューカマーだとしたら何かとリスキーだが、ヴェンゲル体制では考えられない大胆な人選ではある。

 そして、両サイドバックのローテーションも特徴的な用兵だ。エメリはPSGを率いていた当時、右にダニ・アウベスとトマ・ムニエを、左はユーリ・ベルチチェとレーバン・クルザワを併用してきた。セビージャでも右はコケとジオゴ・フィゲイラス(またはコケとマリアーノ)、左はフェルナンド・ナバーロとブノワ・トレムリナス(またはセルヒオ・エスクデロとトレムリナス)のツープラトーンだった。

 だからこそアーセナルではシュテファン・リヒトシュタイナーを補強し、放出濃厚といわれたセアド・コラシナツも留めたのだろう。ヴェンゲルは右サイドバックにエクトル・ベジェリンをほぼ固定した結果、シーズン終盤でパフォーマンスがばらついた。エメリ体制でその危惧はない。

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