連鎖する投獄と不審死。免れたのは「プーチンのメッセンジャー」、アブラモヴィッチただ1人【億万長者クラブの真実(5)】

2019年01月06日(Sun)10時00分配信

text by ジェームズ・モンタギュー photo Getty Images
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相次ぐオリガルヒらの不審死

 イギリス史上、最も規模の大きな民事訴訟には、かくして決着がついた。

 だがベレゾフスキーとアブラモヴィッチ、そしてプーチンを巡る忌まわしいストーリーは、むしろここから核心に入っていく。

 裁判の1年後、ベレゾフスキーの死体がロンドンの自宅で発見される。彼は首にスカーフが巻かれた状態で、バスルームの床に倒れていた。通常ならば自殺と判断されるだろうが、警察側は自殺説の信憑性を疑っている。検死官は、死因は不明だと結論付けた。

 いわゆるエリツィンに与していたオリガルヒたちは、その後も次々に投獄されたり、謎の死を遂げていくことになる。

 ベレゾフスキーと組んでいた、バドリ・パタルカツィシビリは2008年、心臓発作で帰らぬ人となる。年齢はまだ50代前半だった。さらにはベレゾフスキーのような事件を、数多く目の当たりにしてきたイギリス人弁護士、ステファン・カーティスは、2004年にヘリコプターの墜落事故で死亡している。

 一方、ロシア国内で最大の資産を誇り、自らの財力でプーチン政権を覆そうとしたミハイル・ホドルコフスキーは、2003年に投獄されて財産を没収された。簡単に言うなら、プーチンの不興を買ったすべてのオリガルヒは、破滅させられたのである。

 だが災禍を免れた人間が1人だけ存在する。アブラモヴィッチである。抜け目のない彼は、誰が真の権力者であるのかを把握していた。それはチェルシーの買収にも絡んでくる。

(文:ジェームズ・モンタギュー/訳=田邊雅之)

▽ジェームズ・モンタギュー
英国エセックス州出身のジャーナリスト。スポーツ、政治、そして文化を専門分野とし、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、オブザーバー、GQ、エスクワイヤ、CNN、BBCなどの各媒体で、精力的に執筆・解説活動を展開。2008年には、中東諸国のサッカーと社会を描いた処女作「When Friday Comes:Football, War and Revolution in the Middle East」を出版。2014年には、ワールドカップ・ブラジル大会出場を目指す、世界6大陸の様々な代表チーム、しかも弱小チームの奮闘ぶりを描いた「Thirty One Nil:On the Road With Football’s Outsiders, a World Cup Odyssey」を出版。2015年のイギリス最優秀スポーツ書籍賞に輝いている

▽田邊 雅之
1965年、新潟県生まれ。ライター、翻訳家、編集者。『Number』をはじめとして、学生時代から様々な雑誌や書籍の分野でフリーランスとして活動を始める。2000年からNumber編集部に所属。ワールドカップ南ア大会を最後に再びフリーランスとして独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです

【了】

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