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セリエA 3年前

ミラン、トリノ戦で何があったのか? 攻撃陣沈黙…それでも勝利できた理由は?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

前節から修正されたのは…



 試合後のピオーリ監督とジルーのコメントには、ある共通点があった。それは、長い時間トリノにチャンスを与えていなかったということだ。まさに、この日のミランは攻撃力に物足りなさを残した一方、守備はおおむね機能していた印象を受けた。

 前節のボローニャ戦は高い位置からマンツーマンで勝負するもハマりきらず、ボランチの脇や背後を突かれ前進を許す場面が目立ったが、今回のトリノ戦ではしっかりと修正。選手一人ひとりが高い守備意識を持ち、不用意にスペースを与えることがなかった。

 この日のミランは左サイドから攻められることが多かった。そうなると当然、左サイドバックが前に出る機会も増えるが、それにより空いたスペースはボランチのトナーリがしっかりとカバー。そしてトップ下クルニッチも懸命に下がることで、中央エリアにも的確に蓋をしている。繰り返しになるが、前節はこのチャンレジ&カバーが徹底されていなかった。

 そんなミランの守備を語る上で、ジルーの頑張りは見逃せないポイントだ。前節はズラタン・イブラヒモビッチが守備時にあまり動かないことで他の選手がいつもより高い位置で守備をせざるを得なかったが、トリノ戦ではフランスの大型FWがよく走り、気を利かせてサイドにも回るなどサポート。もちろんアンテ・レビッチらに比べれば強度は低いのだが、それにより他の選手が的確な位置でターゲットを絞りやすくなったという面は少なからずあった。

 そしてもう一人、トナーリの貢献度も高かった。攻撃時にはらしからぬミスが目立ったが、守備ではSBにセンターバック、相棒フランク・ケシエのカバーをも集中力高く行い、トリノに隙を与えず。セリエAの公式データによると、この日は全体2位タイとなる走行距離を記録していたようだ。

 終盤こそリスクを犯し前に出てきたトリノにチャンスを作られる場面は増えたものの、結果的に失点は許さず。ここ最近複数失点を喫していたミランにとって、クリーンシートで勝利できたことは一つ大きな自信となっただろう。

(文:小澤祐作)

【了】

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