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三笘薫が止まらない! 今季5点目が持つ意味とは? 4試合連続先発起用で示した確かな成長【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

ユニオンを劇的勝利に導いたのは…



 ところが序盤から難しい展開になってしまった。8分にコーナーキックからセルクルのDFエドガラス・ウトキスに先制ゴールを許してしまうと、24分にはロビ・マトンドに追加点を奪われる。11月末の監督交代を機に復調してリーグ戦4連勝中のセルクルに2点リードされて前半を終えた。

 三笘はコーナーキックの場面でウトキスの近くにいながらマークしきれず、フリーでシュートを打たせてしまった。マトンドの2点目の場面では、サイドチェンジのロングパスで起点となった相手選手に寄せきれず、カウンターアタックの流れを止められなかった。ともに課題の残る守備対応で2失点に関与してしまっていた。

「点が取れるウィングバックであることはもちろん大切ですけど、それ以上に上下動だったり、守備のところを求められると思うので、攻撃だけにフォーカスせず、(攻守)どちらもできるようにしないとなと思っています」

 ゴールを挙げたルーヴァン戦でこのように語っていた三笘は、まだ守備面に改善の余地を残している。だが、2点ビハインドを背負った状況で、よりタフな展開になることが予想されたセルクル戦の後半は攻撃面で圧倒的な違いを見せた。

 56分、相手のフリーキックをGKアンソニー・モリスがキャッチした瞬間に全速力で前へ走った三笘は、モリスからのスローインを受けて素早く味方に展開。そのままゴール前へと入っていく。

 ユニオンが保持したボールは右サイドへ展開され、攻め上がってきたMFジャン・ラザレがクロスを上げる。そして、一度相手に触られたものの、こぼれ球に三笘が詰めてゴールネットを揺らした。57分に決まった日本代表MFによる今季リーグ戦5得点目は、反撃の狼煙となる。

 75分、ユニオンは首位の意地を見せて同点に追いついた。ここでも三笘が大きな働きを見せた。左サイドの深い位置でサイドチェンジのパスを受けた背番号18は得意のドリブルで仕掛けると、ペナルティエリア内で対峙したディフェンスを深い切り返しで振り切り、クロスを送る。

 ゴール前では混戦が生まれ、三笘も自ら詰めたが、最後に押し込んだのは攻め上がっていたDFのバルト・ニーウコープだった。ユニオンは後半アディショナルタイム突入直前の90分に相手のバックパスのミスからオウンゴールで3点目を奪い、劇的な逆転勝利を飾った。

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