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内容は完敗。マンチェスター・ユナイテッドが抱える問題は? 無失点に抑えられたのは幸運で…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

 

この試合でも顕著となったユナイテッドの課題


 クリスティアーノ・ロナウドが欠場したこの試合、ラングニック暫定監督はライプツィヒ時代から愛用していた4-2-2-2のシステムではなく、4-2-3-1のシステムを採用していた。

 オーレ・グンナー・スールシャール前監督の下では主に4-2-3-1で戦っており、現在のスカッドはこのシステムに合った選手が多い。前政権同様にトップ下で起用されたブルーノ・フェルナンデスは、4-2-2-2のシステムの時より存在感を発揮し、チーム内で最もチャンスを演出していた。

 しかし、マーカス・ラッシュフォードとメイソン・グリーンウッドの両翼はアピールできたとは言い難い内容だった。

 オフに肩の手術を行ったラッシュフォードは特にコンディションが悪く、この試合においてはパスミスも多く悪目立ちしてしまっていた。ラッシュフォードはラングニック体制となってから1ゴールにも絡めておらず、このままの調子ではさらに序列を落としてしまうだろう。

 そしてユナイテッド最大の課題は中盤がどうしても間延びしてしまうということだ。ハイプレスを仕掛けるのであれば、セカンドボールを奪うためにライン間をコンパクトにする必要があるが、最終ラインの押し上げや中盤の運動量が明らかに足りていない。

 特に後半はビルドアップが全くと言っていいほど機能せず、前線にロングボールを放り込む形が多くなったのだが、セカンドボールを回収し続けたのはビラの選手たちだった。

 シーズン途中に監督に就任し、課題が山積みだったチームの修正を図るということは非常に難しい。今冬にラングニックのサッカーに合う選手の補強し、練習で戦術を落とし込み、そしてこのチームにおける最適解のシステムとベストメンバーを急ピッチで見極めなければ、今季の欧州カップ戦出場権獲得は非常に難しくなってしまうだろう。

(文:安洋一郎)

【了】

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