プレミアリーグのレベルになかった「現場」の質
チームが勝てないことの責任はどこにあるのか。
その原因は複数ある。まず、ミクロの視点に立ってサウサンプトンを見ると、現場に立つ選手や監督らスタッフの質が足りていなかった問題があったのは事実だろう。
実際にチームの主軸には、昨季のチーム得点王アダム・アームストロング(シーズン後半戦はウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンFCへローン移籍)やフリン・ダウンズのように、「チャンピオンシップでは活躍するが、プレミアリーグでは輝けない」という前例を持つ選手が多い。昇格に導いた38歳のラッセル・マーティン元監督もプレミアリーグでの指揮は初と、経験不足であったことは確かだ。
選手の質にフォーカスすると、今季のパフォーマンスを踏まえて、来季以降も即戦力としてプレミアリーグに個人残留できるのは、守護神アーロン・ラムズデールしかいないだろう。
今季ブレイクしたタイラー・ディブリングや昨年11月にイングランド代表デビューを飾ったテイラー・ハーウッド=ベリスのような選手たちは、ポテンシャルが評価されて個人残留、もしくは他の1部リーグに引き抜かれるかもしれない。しかし、現時点ではプレミアリーグに残留する17クラブでレギュラーとして活躍できる能力を持ち合わせているかどうかは懐疑的だ。
この根本的な残留組との戦力差がある中で、マーティンはチャンピオンシップ時代から続ける形で最終ラインから繋ぐサッカーを志向した。しかし、残念ながら今のプレミアリーグと2部のレベルの差はかつてないほどに離れている。
特に非保持における守備強度や整備されたプレス、トランジションの部分には一朝一夕で埋めきれないほどの差があり、その相手に対して最終ラインからボールを繋ぐことはリスクでしかなかった。
では、昨年12月にマーティンが成績不振で解任となった際に、誰が後任の監督に招聘されたのか。ここでサウサンプトンが抱えるマクロな課題が露呈する。