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コラム 8か月前

日本人選手への影響は? サウサンプトンの“大崩壊”が起きた深い理由。歴史的低迷の予兆は最初からあった【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

予算を費やしてチームを若返らせたが…

 これだけ方向性が定まっていないのは、現在のオーナー体制となってからチームの土台が揺らぎ続けているからである。

 2022年1月からサウサンプトンの株式を80%所有するスポーツ・リパブリックはイギリスのスポーツ投資会社で、元ブレントフォードのテクニカル・ディレクター、ラスムス・アンカーセンと投資家のヘンリック・クラフトによって設立された。

 彼らは世界で最もマルチクラブ・オーナーシップ(MCO)を成功させているシティ・グループの例を参考にした。2022年8月にはトルコのギョズテペ、2023年7月にはフランスのヴァランシエンヌの筆頭株主となり、現在はサウサンプトンを含めた3クラブの経営権を持っている。

 シティ・グループをモデルケースにしていることもあり、2022年夏にマンチェスター・シティのアカデミーで採用責任者を務めていたジョー・シールズをシニアチームのリクルートメントに任命。若手選手を中心に補強する方針を掲げ、彼のコネクションでロメオ・ラヴィア、ギャヴィン・バズヌ、サミュエル・エドジー、フアン・ラリオスの4人をシティアカデミーから引き抜いた。

 2022年夏の移籍市場で獲得した計10選手の平均年齢は21.4歳。かなりの予算を費やしてチームを若返らせたが、即戦力とは言い難い若手を多く獲得するやり方はあまりにリスクだった。実際に現時点ではバズヌ、エドジー、ラリオスの3選手をトップチームで戦力化できていない。

 そしてチームの土台が揺らぐキッカケとなる事件が発生する。

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