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コラム 8か月前

日本人選手への影響は? サウサンプトンの“大崩壊”が起きた深い理由。歴史的低迷の予兆は最初からあった【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

計画は白紙。要職が相次いで…

 サウサンプトンの採用責任者就任から4ヶ月も経たない同年10月に、若手選手獲得を指揮したシールズのチェルシー移籍の噂が流れると、年末にはチームを去った。

 その後任として2023年夏にマンチェスター・シティのアカデミーマネージャーを務めていたジェイソン・ウィルコックスをフットボール・ディレクターとして新たに招聘したが、彼も1年経たずしてマンチェスター・ユナイテッドに活躍の場を求めた。彼はマーティンをサウサンプトンの新監督に据えた人物である。

 選手獲得や監督人事など、クラブの“設計図”を作る役割を与えられた人物が1年以内に相次いでチームを去るとなれば、当然ながら計画は白紙になる。

 サウサンプトンの現状は本来、長年にわたってコミットして欲しい人物が、相次いで引き抜かれてしまったことによる“成れの果て”だ。この状況で適切な判断を下せるはずがないだろう。

 ただ、今年に入ってからようやく良い兆しが見え始めた。2月には空席だったテクニカル・ディレクター(TD)にヨハネス・スポースを招聘。彼はMCOの体制を敷いていた777パートナーズが破産するまで、同系列のグローバル・スポーツ・ディレクターを務めており、複数のクラブ運営をサポートした実績がある。

 彼が前任者のように早急にクラブを去らないことが前提ではあるが、ようやくチームの未来図を描ける人物がサウサンプトンに加入した。これは間違いなく前向きなニュースで、昨夏の移籍市場における一貫性のない補強や、ユリッチ招聘のような“その場しのぎ“のような人事が見られないようになると期待したい。

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