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コラム 7か月前

栄光の時代から暗黒期へ。レスター・シティの“深刻な弱体化”はなぜ起きた。サイクルを狂わせた人物とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

新陳代謝が悪くなった結果…

 あくまで筆者の意見ではあるが、ラドキンはビジネスマンとして致命的なほどに判断が悪い。より大きな結果を求めて結果的に後手に回るケースが多数。本末転倒なクラブ経営を行ってしまった。

 まずは選手の補強に関する例を挙げる。レスターは毎シーズン後に1人の主力を売却し、それを資金源に複数の優秀な選手を獲得する。このサイクルでチームを強化していた。

 例えば、優勝した直後のシーズンでは、エンゴロ・カンテを売却し、代わりにイスラム・スリマニやアーメド・ムサ、ウィルフレッド・エンディディらを補強。2018/19シーズンは、リヤド・マフレズを放出した代わりにジェームズ・マディソン、リカルド・ペレイラ、ユーリ・ティーレマンスらを戦力に加えていた。

 選手の価値を上げて高額で売却する。このサイクルが上手く回っている時のレスターは新陳代謝が良かった。しかし、この流れが2021/22シーズンに途絶える。これが衰退の始まりだった。

 2016年夏からカンテ、ダニー・ドリンクウォーター、マフレズ、ハリー・マグワイア、チルウェルを順番に売却していた中で、同シーズンは選手売却の売り上げでは400万ユーロ(約5.6億円)しか計上することができなかったのだ。

 主力選手にオファーがあった中で放出をしなかったのは、あと一歩まで迫っていたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場を目指してのことだろう。そのためクラブが定めた一定の額を超えないオファーは全て却下したと考えられる。

 しかし、オーナーのキング・パワーがコロナ禍による経済的なダメージを大きく受けていた中でのこの決断は結果的に大失敗だった。

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