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コラム 2か月前

栄光の時代から暗黒期へ。レスター・シティの“深刻な弱体化”はなぜ起きた。サイクルを狂わせた人物とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

学ばない首脳陣の失態

レスター ラドキン
【写真:Getty Images】

 毎度のように監督の契約を巡って苦戦をするのは、フットボール部門の責任者であるラドキンの失態でしかない。

 そもそも財政的に逼迫してしまうクラブ経営を行っているのが悪いのだが、コストカットするための策がないのは致命的だろう。『The Telegraph』の記事によると、同じく降格したサウサンプトンの場合はイヴァン・ユリッチ前監督との契約に「降格をした場合は契約を破棄することが可能」という条項を入れていたそうだ。

 この条項をファン・ニステルローイとの契約に入れておけば、ロジャーズを解任する際に苦労した保証金に悩まされることはなかったのだが、2年前と同じような問題で頭を悩ませている。

 シーズン前に話を移すと、チェルシーに引き抜かれたエンツォ・マレスカの代わりに、スティーブ・クーパーを新監督に招聘したことも疑問だ。彼はローカルライバルであるノッティンガム・フォレストを昇格に導いたことで、今も同クラブのファンから支持を集めている。レスターファンからすると、複雑な感情を抱いても不思議ではない。

 こういった積み重ねがあり、レスターファンの怒りの矛先は現場の選手たちではなく、編成の責任を担うラドキンを筆頭に、オーナーら経営陣に向いている。スタジアムでバナーを使った退任を要求する抗議やLEDカーを貸し切って街中を運転する姿も見られている。

 この経営難の影響は来季以降にも及びそうだ。現在の選手たちの年俸がクラブの年間の収入を上回るなど、収支のバランスが取れておらず、来シーズンはEFLの財務規定に違反して処分を受ける可能性もある。

 プレミアリーグ史上2番目の若さでデビューしたジェレミー・モンガのようなポジティブな話題もあるが、現在の状況は先が暗く、ファンとクラブの間にある溝は深まるばかりだ。

 抗議活動が実り、ラドキンら上層部が変わらなければ、レスターの未来は開けないかもしれない。

(文:安洋一郎)

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【了】

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