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「サッカー『BoS理論』 ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法」の続編を連載中。ボールを奪い、ゴールに向かうとき、そこにはどのような選択肢があり、優先順位があるのか。ドイツサッカーの根本にある「BoS理論」を基に、ボール奪取後に必要な態度を記す。(文:河岸貴)
『サッカー「BoS理論」 ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法』
カンゼン・刊
河岸貴・著
ボールを中心に考え、ゴールを奪う方法論「BoS(ベーオーエス)理論」(Das Ballorientierte Spiel:ボールにオリエンテーションするプレー)が足りていない日本サッカーの現状に警鐘を鳴らす。ドイツ・ブンデスリーガの名門シュトゥットガルトで指導者、スカウトを歴任した著者が、日本のサッカーの現状を直視しながら、「BoS理論」におけるボール非保持時の部分、「Ballgewinnspiel:ボールを奪うプレー」の道筋をつけた一冊。
ゴールを生んだ「Erster Blick in die Tief」
GKがキャッチした瞬間にリントン・マイナがまたハイラインの背後を突く動き出しをします。それに合わせてGKから正確なパントキックでロングボールが送られ、ラッキーもあったもののこれが起点となり得点となります。GKの「Erster Blick in die Tief」の意識から生まれたゴールとも言えます。
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ところで、このアレハンドロ・グリマルドのゴールから遠い、深い位置からのクロスは言及したいプレーですが、少し先となる「アタッキングサードのプレー」の回で改めて触れます。ここでより深掘りするのはケルンの2点目です。
4回目にあげた例は得点にはならなかったものの、ボール奪取から極めてゴールに直線的なプレーでした。2点目はワンクッションあるロングカウンターと言えます。押し込んでいるレヴァークーゼンは相手陣内で右サイドから左サイドにボールを動かします。
サイドラインいっぱいでグリマルドは強引なドリブル突破を試みます。しかし、スライドの速いケルンは右WBヤン・ティールマンと3バックの右ティモ・ヒューバースの2人で対応します。
サイドから中央に入り込もうとしたグリマルドのドリブルが少し大きくなり(技術的ミスの誘発、図2-1)、ボールにオリエンテーションしていたケルンの3バックの中央ジョエル・シュミットはそのボールをスライディングでこちらもしっかりボールにオリエンテーションしていたMFデニス・フセインバシッチにパスをします。