ボール奪取後は3つの選択肢がある
・ボール保持者はまず前方を前線の選手を意識する
・前線の選手はDFの背後を狙うのか、足元で受けるのか、ボール保持者の相手からのプレッシャー状況で判断をする
a)ボール保持者にプレッシャーがない→DFラインの背後を狙う
b)ボール保持者がプレッシャー下(背後を狙うのが厳しい)→足元でボールを受ける。例えば、そこからしっかりボールをキープして、前向きの選手にボールを落とし、より前線へボールを送り込めるような、起点となるプレーがイメージ(「Steil-Klatschen-Spiel」=シュタイル-クラッチェン-シュピール)
最後に、先制点を奪ったダウンズのプレーについて言及します。彼はペナルティエリア内でボールを受けた際にトラップミスをしたため、相手2人に囲まれてしまいます。それでも慌てず対応し、粘り強くゴールにねじ込む…外国人FWらしいメンタリティだと思いました。
私は日本でずっとFWとしてプレーしてきましたが、ドイツではFWらしくないと言われたことがありました。ドイツではFWは極端に言えば、ゴールさえ決めれば良いのです。何て下手くそなんだ! と失礼ながら思ったFWの選手でもボックス内では別人になります。
例を挙げると、実際にシュトゥットガルトで身近で見ていた選手のマーティン・ハルニック(元オーストリア代表)でしょうか。アマチュアでもシュートを決めるということに関してだけ特化された選手はゴロゴロいます。
このようなFWたちと私の違いはゴールへの意識です。自分がゴールを決めるより先にまず、ポストプレーをしっかりしないと、ポゼッションでうまく絡まないとなど、ボックス内以前のことに多く気を取られていました。チームの一員として迷惑をかけないことを強く意識していたのです。
試合でもシュートを外してもナイスシュート! とゴールが決まる決まらないより、それまでのボールを繋ぎ、その過程が良ければ何か満足していたように思います。トレーニングでもシュートより、パス、トラップ、ドリブル、ボールタッチなどの技術練習に多くの時間を割いていました。
したがって、試合でもシュート数、醍醐味と言えるボックス内の攻防は少なくなります。このサッカー観は日本の社会文化的視座から形成されていると思います。