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コラム 5か月前

新生マンチェスター・シティがもう強い。ユベントス戦大勝は、新たなワールドクラス誕生の瞬間だった【東大分析官の視点】

シリーズ:コラム text by 阪田天祐 photo by Getty Images

ラインデルスの動きがプレス回避、崩しの鉄板パターンに?

 一方、左インサイドハーフで先発したラインデルスに求められるタスクも複雑なものだった。中盤の他2人(MFロドリ、B・シウバ)と気を利かせ合いながら、ユベントスの5-2-3ミドルブロック(間延びして5-1-4のようになることも多かった)を動かし、生まれたスペースに顔を出してパスを受け、ボールを前進させなくてはならない。

 ロドリとB・シウバという、手前で引き取るプレーを好む2選手がいたこともあり、ラインデルスが1stラインを越えるパスを引き取ることは少なかった。これは加入してからまだ日が浅く、アンカーのロドリと被らないスペースへのポジショニングがなかなか難しかったからなのかもしれない。

 しかし、22分のシーンは素晴らしかった。ロドリが1stラインの奥に動くと同時に空いたスペースに顔を出し、ボールを受けて前を向く。ラインデルスは、こういう段差を作るポジショニングが上手い。

 その次のシーン。シティは一度GKまで戻し、相手を引き付けて中央にスペースを作る。ライン間から降りてきたFWサビーニョがパスをもらうと同時に、サビーニョが空けたスペースにスルスルっと抜け出すラインデルス。それも、抜け出すタイミングも一択ではなく(フルスプリントではなく)、出し手のタイミングに合わせられるような見事なランニングだった。

 結果的にパスを受けることはできなかったが、このラインデルスの抜け出しを感じられる選手が増えれば、非常に脅威であると思わされた。

 前方に広がるスペースへの抜け出しのタイミングと体の向き、そして受けた後のクオリティ。ラインデルスの真骨頂は、まさにここにある。14分、そして64分の崩しのシーンもそう。ライン間からポケットにランニングし、絶妙な体の向きで抜け出してソフトにコントロールしている。

 受けた後もボールを自分の間合いに入れたまま、シームレスに突破しチャンスを作る。得点を奪うことはできなかったが、ラインデルスの2列目からの飛び出しは、来季のシティのプレス回避、崩しの鉄板パターンになりそうだ。

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