ガスペリーニとマッサーラは同じサッカー哲学を共有する
「自分がクラブのひとつの指針になることは分かっている。何が正しくて、何が間違っているか助言はするが、最終的に決めるのはオーナーだ。それはどこのクラブでも同じだと思う」と語っている。
フリードキン会長が最終決断を行うことは従来までともちろん変わらない。アタランタもサポーターが熱狂的なクラブであるが、ローマはその比ではなく、規模も異なる。ガスペリーニも道を踏み外すことはあるだろう。そんな時に、ローマ人であり、ロマニスタで、誰よりもローマを熟知するラニエリが助言を行えば、ガスペリーニは正しい道を歩むことができるはずだ。
SDにマッサーラが帰還したことも、ローマにとっては大きな“補強”だった。16/17と18/19シーズンにローマのSDを務め、2019年から4年間にわたっては、ミランのSDを担い、パオロ・マルディーニTDとの共闘で、21/22シーズンにはスクデットをもたらした。昨季は、リーグ・アンのスタッド・レンヌで補強に従事した。冬の移籍市場で古橋亨梧の獲得を欲したのが、このマッサーラだと言われているが、チームにとって有益なオペレーションとはならなかった。
ローマのSDだった18/19シーズンには、シーズン途中からラニエリを指揮官に招聘した経緯もある。現役時代には、FWとしてペスカーラでプレーした。この時の指導者だったのが、ジョヴァンニ・ガレオーネである。ガレオーネと言えば、多くの名監督を輩出した名伯楽として知られる。マッシミリアーノ・アッレグリ、マルコ・ジャンパオロ、そしてガスペリーニがその門下生だ。
マッサーラは10歳年上のガスペリーニとは、ペスカーラで在籍時期が前後していたため、同じピッチに立つことはなかったが、2人はガレオーネを師と仰ぎ、同じサッカー哲学を共有する関係にある。SDと指揮官が共通のヴィジョンを抱けることは、大きな強みとなるだろう。サバティーニは、「何を言うべきかを理解し、複数の言語を操り、選手の情報を持ち、どこに探しに行けばいいかも分かっている」と非の打ち所のないディレクターであると太鼓判を捺す。