キックオフもセットプレーにした新たな攻撃の形
2024/25シーズンのブレントフォードの特徴の1つが、キックオフ直後の得点が多かったこと。
フランク前監督も「(キックオフ直後は)得点するのが比較的難しい状況の1つだが、自分たちはこれをセットプレーの状況と見なしている。できるだけセットアップし、コントロールできると考えている」とコメントしており、意図的に開始直後のゴールを狙っていた。
この仕掛人がセットプレーを担当していたアンドリュースだ。「彼のすべてが称賛に値する」とフランク前監督からも絶大な支持を集めていた若き指導者は、開幕直後から自分たちの狙いを結果で示した。
ブレントフォードは第4節マンチェスター・シティ戦から第5節スパーズ戦、第6節ウェストハム戦と3試合続けて1分以内にゴールを決めた。これはプレミアリーグ史上初の記録であり、それぞれ開始22秒、23秒、38秒でネットを揺らしている。
マンチェスター・シティ戦とスパーズ戦で共通していたのが、右ウイングバックとして起用した身長198cmのクリストフェル・アイェルの空中戦の強さを活かしたシンプルな攻撃だ。明確なターゲットを作り、その周りのプレッシングを整備することで、再現性のある形を作り上げた。
キックオフと同時にGKのマルク・フレッケンにボールを下げると、高い位置に上がったアイェルにシンプルなロングボールを送る。そのこぼれ球を回収するため、ノルウェー代表DFの周りに多くの選手を意図的に配置。選手間の距離を縮めることでプレスの強度を上げ、ショートカウンターのような形を誘発して早い時間帯に先制点を手にした。
興味深いのは、1分以内に先制点を決めた3試合目のウェストハム戦は別のアプローチでゴールを決めたこと。相手の対策を見越した上でGKのフレッケンにボールを下げることなく、センターバック(CB)からのロングボールという起点を変えての形でネットを揺らした。