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コラム 5か月前

プレミアリーグの常識を変えたブレントフォード。セットプレーコーチ出身監督の新たな挑戦と成功への予兆【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

キックオフもセットプレーにした新たな攻撃の形

 2024/25シーズンのブレントフォードの特徴の1つが、キックオフ直後の得点が多かったこと。

 フランク前監督も「(キックオフ直後は)得点するのが比較的難しい状況の1つだが、自分たちはこれをセットプレーの状況と見なしている。できるだけセットアップし、コントロールできると考えている」とコメントしており、意図的に開始直後のゴールを狙っていた。

 この仕掛人がセットプレーを担当していたアンドリュースだ。「彼のすべてが称賛に値する」とフランク前監督からも絶大な支持を集めていた若き指導者は、開幕直後から自分たちの狙いを結果で示した。

 ブレントフォードは第4節マンチェスター・シティ戦から第5節スパーズ戦、第6節ウェストハム戦と3試合続けて1分以内にゴールを決めた。これはプレミアリーグ史上初の記録であり、それぞれ開始22秒、23秒、38秒でネットを揺らしている。

 マンチェスター・シティ戦とスパーズ戦で共通していたのが、右ウイングバックとして起用した身長198cmのクリストフェル・アイェルの空中戦の強さを活かしたシンプルな攻撃だ。明確なターゲットを作り、その周りのプレッシングを整備することで、再現性のある形を作り上げた。

 キックオフと同時にGKのマルク・フレッケンにボールを下げると、高い位置に上がったアイェルにシンプルなロングボールを送る。そのこぼれ球を回収するため、ノルウェー代表DFの周りに多くの選手を意図的に配置。選手間の距離を縮めることでプレスの強度を上げ、ショートカウンターのような形を誘発して早い時間帯に先制点を手にした。

 興味深いのは、1分以内に先制点を決めた3試合目のウェストハム戦は別のアプローチでゴールを決めたこと。相手の対策を見越した上でGKのフレッケンにボールを下げることなく、センターバック(CB)からのロングボールという起点を変えての形でネットを揺らした。

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