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コラム 5か月前

プレミアリーグの常識を変えたブレントフォード。セットプレーコーチ出身監督の新たな挑戦と成功への予兆【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ブレントフォードのアイデンティティ

 すでにブレントフォードは2025/26シーズンに向けてフランク前監督がスパーズに引き抜かれ、主将のクリスティアン・ノアゴールとエースのブライアン・エンベウモの移籍も決定的。リーグ最多セーブを記録したフレッケン(→レバークーゼン)の後釜としてリバプールからクィービーン・ケレハーを獲得しているが、6月末の時点での戦力ダウンは否めない。

 チームの「核」となる人物の流出が相次いでいる中で、監督未経験のアンドリュースの内部昇格はフロントも勇気ある決断だっただろう。ただ、ブレントフォードが成長してきた過程を思い出して欲しい。彼らは監督や主力が引き抜かれた後に大きな成功を収めている。

 クラブをプレミアリーグ昇格と残留に導いたフランク前監督もディーン・スミスが2018/19シーズン途中にアストン・ヴィラへ引き抜かれたことによるアシスタントマネージャーからの内部昇格だった。

 また、彼らはすでにキャプテン兼司令塔とチーム得点王、守護神を同時に失ったシーズンを経験している。

 フランクが監督に就任した約半年後にあたる2019年夏の移籍市場で、主将であり、中盤の軸だったMFロメイン・ソーヤーズ、チーム得点王でエースのFWモペイ、守護神のGKダニエル・ベントレーが引き抜かれた。

 その後釜として獲得したのがノアゴールやエンベウモ、GKダビド・ラヤである。その1年後にも2年連続でチーム得点王のFWオリー・ワトキンスが引き抜かれ、後釜としてFWアイヴァン・トニーを獲得。選手を入れ替えながらも強化を続けてプレミアリーグの舞台に立った。

 当時と現在はリーグカテゴリーを含めて状況が異なるのは承知の上だが、彼らほど監督や選手を引き抜かれたピンチをチャンスに変えてきたクラブは存在しない。

 これはクラブとして明確な採用基準があり、コーチングスタッフにも外部から優秀な人材を揃えるブレントフォードのアイデンティティがあるからこそ実現可能なリクルートだと言える。

 近年、獲得した選手の適応に時間を必要とするのは懸念点ではあるが、優秀なフロントが選出したアンドリュースであれば、ブレントフォードを継続的に強化することができるだろう。彼がセットプレーコーチ出身の監督という新たなキャラクターを活かしてどのようなフットボールを展開するのか。今から楽しみだ。

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【了】
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