スパーズが若手選手を集める理由
これはスパーズに限った話ではない。欧州の多くのクラブが「即戦力」を集めると同時に「若手選手」の獲得を進めている。このトレンドは現代のフットボールクラブの経営において、選手の獲得を「ピッチ内(戦力化)」と「ピッチ外(ビジネス)」の二軸に分けて考える必要があることを意味している。
当然ながら戦力として活躍することがベストだ。その上で若手選手の補強は「先物取引」の要素もあり、獲得時の移籍金が安ければ安いほど低リスク。仮にレギュラーとして活躍することができなかったとしても、将来的に獲得時よりも高額な移籍金で売却できる可能性があるためだ。
若手選手はポテンシャルという付加価値が加わることで移籍金が高騰しやすい傾向もあり、実際にスパーズでTDを務めるランゲは過去の所属クラブでビジネス的な成功を収めている。
昨夏に獲得したベリヴァルとグレイは、2026/27シーズンのUEFA主催のコンペディションで最大25名の上限があるリストAではなく、21歳以下で2シーズン以上在籍している選手に該当するリストBに入れることが可能に。詳細は割愛するが、スカッド編成の面でも若手選手の獲得が効果的になるパターンもある(高井は今年9月に21歳を迎えることから上記には該当しない)。
さて、多くの日本人が、高井が移籍1年目からスパーズで出場機会を得られるかどうかについて注目しているだろう。本稿執筆時点では、具体的なシステムや戦術も明らかになっておらず、実際の序列はプレシーズンマッチやリーグ戦が開幕しなければわからない。
ただ、現時点でも高井にとってトーマス・フランクへの監督交代が、ポジティブな影響を与える可能性が高いことは断言できる。