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コラム 1か月前

なぜトッテナム・ホットスパーは高井幸大を獲得したのか。発掘した人物の手腕、若手獲得に積極的な明確な理由【移籍考察コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

トーマス・フランク新監督の特徴

 恐らく高井はアンジェ・ポステコグルーがスパーズの監督を務めていた時期から補強リストに載っていた。

 前監督も若手選手を積極的に起用していたが、20歳の高井にとって、フランクの監督就任はよりポジティブな出来事になると予想される。その理由は、デンマーク人指揮官が選手の特長を汲み取った上でチームの枠組みを作ることができる指導者であるからだ。

 前任のポステコグルーは「自分の哲学」と「選手のプレースタイル」の相性の良し悪しが結果に繋がることが多かった。一方、ブレントフォード時代のフランクは、既存戦力や相手のチーム状況に合わせて戦い方を大きく変えている。

 チームの成功を目指す上では大胆なコンバートも厭わない。例えば、2019年夏にブレントフォードでチーム得点王だったニール・モペイが引き抜かれた際に、左WGのオリー・ワトキンスをストライカーへとコンバート。直近の2024/25シーズンも左SBの度重なる負傷を踏まえて、左WGのキーン・ルイス=ポッターのポジションを下げて大成功を収めた。

 このコンバートの成功も選手の特長を見極めた上での結果だ。彼らに加えて、ブライアン・エンベウモやヨアン・ウィサ、ジェームズ・コリンズのような選手がブレントフォードで飛躍的に成長したのは、クラブが持つ異次元のスカウティング能力をベースに、フランクが各プレイヤーのポテンシャルを引き出したことが大きかった。

 彼がスパーズで長期政権を築くことが前提にはなるが、その環境さえ整えば高井もよりビッグプレイヤーへと成長できると予想している。

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