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コラム 5か月前

なぜトッテナム・ホットスパーは高井幸大を獲得したのか。発掘した人物の手腕、若手獲得に積極的な明確な理由【移籍考察コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ポジションを争うライバルの存在

 現時点でも高井は右CBでも左CBでもプレー可能な完成度の高いCBで、フィジカル能力にも恵まれている。過去数年間の成長速度の速さから見てもポテンシャルは青天井だ。

 筆者もスパーズで結果を残すことができると考えているが、ライバルが多いのも事実だ。

 ワールドカップ優勝メンバーであるアルゼンチン代表DFクリスティアン・ロメロやプレミアリーグ史上最速スプリントを記録したオランダ代表DFミッキー・ファン・デ・フェンを筆頭に、ケヴィン・ダンソやラドゥ・ドラグシン(怪我で年末まで離脱)ら各国代表クラスの実力者が揃う。

 高井と同じく若手枠からポジションを狙う20歳DFアシュリー・フィリップスや18歳DFルカ・ヴシュコヴィッチもポテンシャルは抜群だ。

 身長196cmのフィリップスは、ボールウォッチャー癖がある点は改善の余地があるが、素材としては凄まじいものがある。昨季ストーク・シティでリーグ戦35試合に出場し、ドリブルで抜かれた回数はたったの2回。その上で両足を扱える。彼もフランク監督の下で大きな期待が寄せられる選手のひとりだ。

 高井と同じく今夏にスパーズに合流したヴシュコヴィッチは、193cmという恵まれたフィジカルとキックの質を兼ね備えるクロアチア代表の至宝だ。全体的に粗削りな部分もあるが、昨季は1シーズンで7ゴールと得点力にも魅力がある。

 プレーで結果を残すことができれば問題ないだろうが、日本とは大きく環境の異なるイングランドでの生活や言語の問題も懸念点のひとつ。すでにJ1で半年間リーグ戦を戦った中での欧州挑戦であり、他の選手と違いシーズンが1年半も続くためコンディション面でも不安を残す。

 ただ、直近までJ1で試合に出場していたことはプラスにも働くかもしれない。プレシーズンから新監督の下で序列が定まっていないチームで、コンディションが整った状況でアピールできるのは間違いなくポジティブだ。21歳以下であることから、プレミアリーグでは登録枠に入れなくても出場できるため、スカッドに入れるメリットもある。

 果たして、高井は名門スパーズで世界を驚かすパフォーマンスを披露することができるだろうか。20歳の若武者の挑戦が間もなく始まる。

(文:安洋一郎)

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【了】
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