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コラム 5か月前

レアル・マドリードの大敗はなぜ起きた? 最強PSGに挑むには準備不足? 解決できなかった問題点を見る【東大分析官の視点】

シリーズ:コラム text by 阪田天祐 photo by Getty Images

PSGを止めるにはどうしたらいいのか

 得点力抜群のポジショナルプレーを実行できるPSGに対して、どのように戦えばよいのだろうか。サッカーの基本原則から考えると、対戦相手は少なくとも、以下の3つの論点を解決する必要がある。

①インサイドハーフ流しをどう捕まえるか。
②ミドルブロックを引く時、全体をどの位置に設定するか。
③ポケットのスペースをどう管理するか。

 ①は、PSGの前進を防ぐために考える必要がある。この試合のマドリーからは、4-3-3ないし4-4-2ブロックで、特に中央からの前進を防ぐ意図が感じられた。

 しかし、守備意識の低いFWキリアン・エムバペとFWヴィニシウス・ジュニオールの外側にポジションを取ったPSGのインサイドハーフを捕まえる術が無かった。そのせいで、簡単にブロックのファーストラインを外越えされ、ハーフウェーライン付近からマドリー陣内にかけてのプレー時間が長くなった。こうなると、③の問題がより大きくなり、失点のリスクが高まってしまう。

 ②は、PSGのロングボールによるプレス回避を対策するために考慮する必要がある。まず、最終ラインの高さは、被ロングボール時のリスクの高さにある程度相関する。そして、陣形がコンパクトではないのに前だけハイプレスに出てしまえば、各ライン間が間延びし、相手が中央から前進するためのスペースを与えてしまう。

 特に30分のクーリングブレイク明けからのマドリーは、まさにこの形だった。積極的に中盤ラインも前に出て捕まえに行くものの、ハキミやDFヌーノ・メンデスに上手くいなされたり、ハイラインの背後をロングボール一本で突かれたり。コンパクトさを欠いた守備組織は、厳しい戦いを強いられた。

 24分の3点目や45+2分の決定機、87分の4点目は、この②の問題から生まれた。

 マドリーはまず、この論点①②を解決できずにPSGの前進を許した。そして、その先には、今季欧州の舞台で猛威を振るった超強力アタッカー陣が待ち受けているのであった…。

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