効果的だったエンツォ・マレスカ監督の戦術プラン
その要因の1つが、マレスカ監督が用意したPSG対策のプランが機能したことである。
ルイス・エンリケ監督率いるPSGの最大の特徴とも言えるのが、複数のポジションチェンジを行いながらの前進だ。例えば、最前線に入るウスマン・デンベレが中盤に下りてボールを引き出す際には、必ずフランス代表FWが空けたスペースに中盤のファビアン・ルイスらが代わりに入る。
各選手がユニットでポジションを入れ替えながらも全体のバランスが崩れないのが彼らの長所だと言えるだろう。
この攻撃に対して、各選手間でマークを受け渡しながらゾーンで対応するのは至難の業。仮にマンツーで対応していたとしても、担当の選手がPSGの強烈な個人技で剥がされるというのが、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)や今大会でも数多く見られた。
誰がどの選手の対応をするのかが曖昧になればなるほどPSGの思うつぼになる中で、マレスカ監督は事前に守備を整理した上でこの試合に臨んでいる。
それが明らかになるのが、開始5分のシーン。右CBのマルキーニョスが裏に抜け出した右SBアクラフ・ハキミにロングボールを送った際の対応だ。