MF：中井卓大（なかい・たくひろ）

【写真：Getty Images】

生年月日：2003年10月24日
前所属クラブ：レアル・マドリード・カスティージャ（スペイン）
24/25リーグ戦成績：11試合0得点0アシスト（ソシエダ・デポルティーバ・アモレビエタ）
24/25リーグ戦成績：7試合0得点0アシスト（ラージョ・カンタブリア）

　レアル・マドリードのカンテラ（育成組織）で史上初となる日本人合格者となった中井卓大が、キャリアの危機に瀕している。下部リーグで好成績を残せずにもがき苦しんだ男は、今月1日にレアル・マドリード・カスティージャを退団してフリーの状態となっている。

　2013年9月、9歳の少年がレアル・マドリードとの契約を勝ち取ったというニュースは、実に大きなインパクトをもって世間に伝えられた。あの世界的名門クラブでさえ、日本サッカーにとっては遠い存在ではなくなったのかもしれない。そう感じたファンは少なくなかっただろうし、“ピピ”（中井の愛称）の小さな背中には周囲からの大きすぎる期待と重圧がのしかかることになった。

　一時は負傷者続出に伴ってトップチームの練習に参加したり、本来のフベニールB（17歳）からフベニールA（19歳以下）に飛び級昇格して背番号「9」を着用したりと、中井がレアル・マドリードで着実に成功への階段を上がっていたのは事実だ。

　2022/23シーズンからはリザーブチームであるレアル・マドリード・カスティージャでプレーし、いよいよトップ昇格も間近に迫っているかと思われた。

　しかし、中井はそこから下部リーグクラブへのローン移籍を繰り返すようになる。2024年7月にはスペイン3部リーグのソシエダ・デポルティーバ・アモレビエタに移籍すると、今年2月には同クラブとの契約を打ち切り、同4部リーグのラージョ・カンタブリアに加入した。

　いずれのクラブでも期待されたような成績は残せず、今夏にレアル・マドリードとの契約も満了を迎えた。現状ではキャリアが停滞してしまっているが、中井はまだ21歳。状況を立て直す時間は十分に残されている。