デ・ゼルビも大激怒「彼は一言の価値もない人間」
カリアリ出身のチェッリーノは、サルデーニャにおいて農業貿易で成功を収めた実業家だ。1992年にカリアリ・カルチョを買収してサッカー界に進出した。2014年にはリーズ・ユナイテッドの株式を75%取得して、イタリア人として初めてイングランド・フットボールリーグのクラブを所有することとなったが、2017年5月に売却している。
その8月に当時セリエBだったブレッシャ・カルチョを約6500万ユーロ(約104億円)で購入した。「ブレッシャ・カルチョを凡庸さから救い出す。破産はさせない」と強い決意を示した。新トレーニングセンターを作り、本拠地マリオ・リガモンティの改装を行い、19/20シーズンには、9季ぶりにセリエA昇格を果たしたが、8年でクラブを破綻に追い込むこととなってしまった。
憤りを示す一人が、現在マルセイユを指揮するロベルト・デ・ゼルビ監督だ。ブレッシャ出身で、07/08シーズンにはナポリからのレンタルで、ブレッシャ・カルチョの一員としてプレーした経験を持つ。父譲りの熱狂的なサポーターとしても知られ、前述のレッジャーナ戦では家族と共に、帽子とサングラス姿で観戦していたところが目撃されている。
そのデ・ゼルビは、チェッリーノに対して辛辣なコメントを寄せている。「彼は一言の価値もない人間だ。『騙された』『自分は被害者だ』などと言っているが、私はその一言も信じない。彼の過去の行動を見れば、騙されたとは到底思えない。むしろ彼自身が常に他人を欺こうとしてきた張本人だ」
自治体の動き出しは迅速だった。地元出身のラウラ・カステッレッティ市長は、ブレッシャ県の県都ブレッシャから、プロクラブを消滅させないために動き、6月9日、フェラルピサロー、FCルメッツァーネ、ACオスピタレットといった、ブレッシャ近郊の3つの有力クラブの会長らを市庁舎に招集し、会談を開いた。
いずれもセリエCを主戦場とするプロクラブの会長だ。この会談で、フェラルピサローのパジーニ会長が、支援に前向きであることを示した。こうして、パジーニは、所有していたクラブ、フェラルピサローの名称変更と移転意向を受け入れ、ユニオン・ブレッシャの名で再出発を果たすこととなるのだ。