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コラム 4か月前

失敗だった…? マンCはグリーリッシュの“ベスト”を引き出せていたのか。「嫌なんだ」と明かしていた左WGでの限界【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

移籍当初のマンチェスター・シティで苦戦した理由

 特に苦しんだのが加入初年度の2021/22シーズンだ。

 アストン・ヴィラ時代は自由に振る舞うことがチームを勝利に導くことに繋がっていたが、プレミアリーグで優勝争いを演じるマンチェスター・シティでは違う。すでに完成されていたチームに後からグリーリッシュが入る形となり、周りに合わせる必要があった。

 その過程で苦戦したのが、左サイドで縦関係となったジョアン・カンセロとの関係だ。両者ともに“使われる側”ではなく、“使う側“の選手で、お互いの個性を消し合い続けた。相性は最悪だった。

 大外のランがなくなったことで、グリーリッシュの良さは半減されたと言って良いだろう。

 それでも2022/23シーズン以降は徐々に彼の持ち味が発揮しやすい形へと変わった。カンセロが2023年冬に退団したことに伴い、ナタン・アケとの縦関係が増え、サポートされる体制が変更。ベルナルド・シウバのような中盤の選手もグリーリッシュの外を回る機会が増え、徐々に司令塔としての役割が発揮できるようになった。

 しかし、トレブルを達成した同シーズンを最後に、出場機会を大きく減らす。彼自身のコンディション不良もその要因だが、プレミアリーグのトレンドの変化も理由の1つだろう。

 近年、プレミアリーグはよりトランジションの重要度が上がり、ダイレクトで縦に速いサッカーがトレンドになっている。

 グリーリッシュは「パウサ」とも呼ばれるプレーを意図的に遅らせることを得意していたが、それよりもシンプルなスピードや仕掛けが求められるようになり、ジェレミー・ドクやサビーニョ、オマル・マルムシュらと比べて序列を大きく下げた。

 それでも全く活躍できなかった訳ではない。2024/25シーズンのプレミアリーグ第5節アーセナル戦では、相手の強固なブロックを崩す一手となり、インサイドハーフで起用された第14節ノッティンガム・フォレスト戦と第30節レスター戦では大車輪の活躍だった。

 しかし、コンディションが上がり切らなかったことや世代交代の余波を受けて構想外となり、2025年夏に行われたFIFAクラブワールドカップのメンバーからも外れた。

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