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コラム 4か月前

言い訳ができない1年が始まったアーセナル。ギェケレシュが最前線に加わったことによる“変化”と“課題“とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

バスケットボールのような試合になった理由

 ギェケレシュが最前線に入ったことでシンプルな縦に速い攻撃を仕掛けたアーセナルだったが、特に前半はカウンターの完結力が低かった。

 その原因となったのが、マルティン・ウーデゴールとガブリエウ・マルティネッリの両名だ。速攻に出る中での判断と質が低く、バスケットボールにおけるターンオーバー(シュート以外のミスやファウルでボールを手放すこと)のような形で、不用意なロストから逆にピンチを招いた。

 その代表的なシーンが25分。ブルーノ・フェルナンデスの背後のスペースでボールを受けたウーデゴールはドリブルで前進。しかし、球離れが悪く、味方選手にパスを出す前にカゼミーロにノーファウルでボールを奪われて、そこからカウンターを受けた。

 逆にマンチェスター・ユナイテッドのブライアン・エンベウモは直後に単騎でシュートまで持ち込んでコーナーキックを獲得しており、両チームの完結力のクオリティの差が出た場面だった。

 この試合でウーデゴールはパス成功率が70%に留まり、ボールロストは両チーム最多の18回を記録。昨季もベストフォームからは程遠かったが、それでも87%のパス成功率を記録していたことを踏まえると、正確性に欠けていたのは事実だろう。

 アルテタ監督は試合後に「簡単にボールを手放してしまい、バスケットボールのような試合になってしまった」とコメントしており、カウンターに出る中でのボールの失い方の悪さとトランジションゲームになってしまった原因を指摘していた。

 ただ、カウンターの起点を作っているのも守備意識が高い彼らである。

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