非常に細かく何気ないプレーがチームを輝かせる
そして、ボールを引き取った後は、よりゴールに近く、相手との距離があり、質的優位がある選択肢が存在するスペース(≒価値の高いスペース)にボールを供給したい。
このシーンで前を向いたペドリは、ドリブルコースを外に曲げながら細かく正対相手を変え、相手のボランチやサイドハーフなど複数人を中を締めさせることに成功した。
さらに、ボールをリリースする直前にも、奥のサイドバックに一瞬の正対を挟むことで、ヤマルへの1st決定をわずかに遅らせるひと手間も忘れなかった。
非常に細かいプレーだが、このペドリの何気ない運びによって作り出されたスペースは、ヤマルの突破力をもってすれば十分価値の高いものだった。十分なスペースと時間を与えられたヤマルはサイドバックをぶち抜き、ポケットに侵入してクロスを上げ切った。
ボールを受ける・ボールを繋ぐという二つの動作を通じて、ペドリはコート内のスペースを掌握し、この日最初の決定機を創出したのだ。
しかし、ペドリの凄さの説明は、これだけでは不十分である。なぜなら、彼はただ目の前のスペースを認知して活用しているだけではないからだ。背番号8のプレーの本質は、②のプレーテンポのコントロールにある。
