パス成功率からもわかるプレスの質の「差」
開幕節のエバートン戦で高い強度を武器に戦っていたリーズも常に受け身だった訳ではない。
[4-5-1]でブロックを構えつつ、時には前から相手のビルドアップに制限をかけようとしていた。しかし、アーセナルの前進に対してほとんどの場面で後手を踏みつづけた。
その理由が結果的に釣りだされるだけの中途半端なプレスと、選手同士のマークの受け渡しの部分における不安定さだ。これが結果として直結したのが、48分に生まれたギェケレシュの初ゴールの起点となった場面である。
田中が同じインサイドハーフのライス、右WGのダニエル・ジェームズがアンカーのマルティン・スビメンディと同列でビルドアップに参加していた左SBリッカルド・カラフィオーリをマンツーで捕まえていた状況から日本代表MFが前に出たことで、両選手の間でマークを入れ替えた。
この場面で田中は試合を通して制限がかかっていなかったCBのガブリエウ・マガリャンイスにもリスクをかけて出ていく。しかし、彼のアクションに後ろのダニエル・ジェームズが連動していなかったことからカラフィオーリがフリーとなり、彼がダイレクトで背後に出したボールが起点となってスウェーデン代表FWにゴールが生まれた。
両チームのプレスの質の差はパス成功率にハッキリと表れており、リーズが76%に留まったのに対してアーセナルは92%を記録。ホームチームはストレスなくボールを前進させることができていた。
プレミアリーグ優勝を目指すチームと昇格組の質の違いと言ってしまえばそれまでだが、両チームの間には簡単には埋まらない差がある。
スコア内容ともに大差がついた試合だが、ハッキリと言ってこの試合の結果は特に敗れたリーズにとってはそこまで重要ではない。
優勝と残留、それぞれの目標に向けて、この試合から得た自信や反省を次に活かすことができるかが最も大切な要素になるだろう。
【関連記事】
言い訳ができない1年が始まったアーセナル。ギェケレシュが最前線に加わったことによる“変化”と“課題“とは【分析コラム】
「世界で3本の指に入る」アーセナルの“新SD“アンドレア・ベルタとは何者? 招聘の理由と求められる役割とは【コラム】
記憶から消したい…。アーセナル、最悪の補強ランキング1〜5位