本田圭佑のデビュー戦で主役の座を奪う
この試合は、CSKAモスクワからミランに加入した本田圭佑のセリエAデビュー戦として、多くの日本人の注目を集めていた。だが、この一戦で、主役の座を奪ったのがベラルディだった。
13分までに2失点を許し、前年のインテル戦で0-7と大敗を喫していたプロヴィンチャのクラブは、再び惨敗の危機に立たされていた。もはや、誰の目にもサッスオーロの敗戦は確実なように思われた。
しかし、ここから一人、気を吐く若者が現れる。それが、当時19歳のベラルディだった。
15分の追撃弾を皮切りに、同点弾、逆転弾、さらには4点目まで叩き込み、濃霧に包まれたスタジアムを熱狂の渦に巻き込み、ついにはチームを4-3の大逆転勝利へと導いた。
“ベラルディ劇場”と化したこの一戦は、サッスオーロの人々にとって忘れがたい記憶となった。そして、ほろ苦いデビュー戦となった本田のミランは、この試合を最後にマッシミリアーノ・アッレグリ監督が解任されることになる。
ロッソネロから衝撃の4ゴールを奪ったレフティは、その後もミラン戦で得点を重ねた。2015年の試合でもハットトリックを記録し、これまでに11得点を挙げて“ミラン・キラー”として恐れられている。
だが、“ミランの天敵”を最も欲したのはユヴェントスだった。2013年9月2日、ユーヴェはカルピに移籍したルカ・マッローネの共同保有権を含む取引でベラルディを獲得し、無償レンタルの形でサッスオーロに残した。
しかし、2015年6月25日、サッスオーロが共同保有権の1,000万ユーロ(約17億円)をユーヴェに支払うことで完全移籍することが決まった。ユーヴェは2017年夏までの買い戻しオプションを保持していたが、それが行使されることはなかった。
“老貴婦人”への移籍はこの時成立しなかったが、本人の思いは強かった。2023年冬にもユーヴェからのオファーを受けた。
