バルセロナの下部組織『ラ・マシア』は世界最高峰の育成機関だ。世界中から優秀な若手選手が集結しており、リオネル・メッシやアンドレス・イニエスタといったワールドクラスの天才を多数輩出している。彼らの中には、そのままトップチームに昇格して主力になった選手もいれば、道半ばでクラブを離れ、他のチームで飛躍を遂げた選手もいる。今回は、様々な理由でバルセロナを離れ、ほかのクラブで一流になった選手を紹介する。[4/5ページ]
※スタッツはデータサイト『Transfermarkt』を参照。情報は9月3日時点。
DF:アレハンドロ・グリマルド(スペイン代表)
生年月日:1995年9月20日(29歳)
現所属クラブ:レバークーゼン(ドイツ)
昨季リーグ戦成績: 32試合2ゴール8アシスト
バルセロナで生まれた確執は、アレハンドロ・グリマルドのキャリアに大きな影響を与えることになった。29歳のスペイン代表DFは、バルセロナ退団後にその評価を高めた選手の一人である。
グリマルドは、2008年にバルセロナの下部組織に加入。バルセロナBの選手として、2011年9月に15歳11ヶ月15日の若さでスペイン2部リーグデビューを果たした。
これは当時のリーグ最年少記録を更新する年齢であり、その秘めたポテンシャルは目の肥えたラ・マシア(バルセロナの育成組織)の指導者たちにも高く評価されていたことが分かる。
順調にバルセロナのトップチームデビューが近づいていた同選手だったが、2015年11月にその後のキャリアを大きく変える出来事が発生する。
グリマルドはスペイン『RAC1』のインタビューで、当時バルセロナを率いていたルイス・エンリケ監督から声が掛からないのかと問われると「一切連絡を取っていない。僕だって彼と話すことなんてない」と発言。公然とトップチームに呼ばれないことへの不満を表明した。
自ら監督との間に確執を作った選手に、当然ながら居場所はない。これにより、2015年12月にグリマルドはベンフィカへ完全移籍という形で放出されることとなった。
その後、8シーズンに渡ってベンフィカの主力として活躍したグリマルドは、欧州屈指の左サイドバックとしてビッグクラブからの関心が報道されるようになる。
しかし、エンリケ監督が指揮を執るスペイン代表には一向に招集されず、かつて生じた亀裂が尾を引いていた。
そんなグリマルドは、2023年5月にレバークーゼンにステップアップ。シャビ・アロンソ監督のもと、一昨季はリーグ戦33試合10ゴール15アシストを記録し、ブンデスリーガ無敗優勝とDFBポカール杯優勝という快挙を達成した。
この活躍によって2023年11月、28歳にしてようやくA代表デビューを果たした。
ただ、このA代表デビューはエンリケ監督によるものではなく、彼に代わって就任したルイス・デ・ラ・フエンテ監督による抜擢だった。グリマルドとエンリケの関係が修復しているかどうかは定かでない。
