バルセロナの下部組織『ラ・マシア』は世界最高峰の育成機関だ。世界中から優秀な若手選手が集結しており、リオネル・メッシやアンドレス・イニエスタといったワールドクラスの天才を多数輩出している。彼らの中には、そのままトップチームに昇格して主力になった選手もいれば、道半ばでクラブを離れ、他のチームで飛躍を遂げた選手もいる。今回は、様々な理由でバルセロナを離れ、ほかのクラブで一流になった選手を紹介する。[5/5ページ]
※スタッツはデータサイト『Transfermarkt』を参照。情報は9月3日時点。
MF:ダニ・オルモ(スペイン代表)
生年月日:1998年5月7日(27歳)
現所属クラブ:バルセロナ(スペイン)
昨季リーグ成績:25試合10ゴール4アシスト
「回り道」がダニ・オルモのキャリアを豊かなものにしている。
現在27歳のスペイン代表MFはバルセロナ生まれ。当時9歳だった2007年にエスパニョールから地元バルセロナの下部組織に移り、プレーを続けた。
しかし、2014年に驚きの決断を下す。スペインを離れ、ディナモ・ザグレブ(の下部組織に移籍することを決めたのだ。
この決断について、父ミケル氏は2019年に「息子のキャリアを台無しにしていると酷評された。バルセロナを去るのは容易なことではない。彼にとって人生で最も難しい決断だった」(英紙『TheGuardian』)と振り返っている。
以降、オルモはクロアチアで着実にキャリアを前進させ、2018/19シーズンにはクロアチア1部リーグの年間最優秀選手賞を受賞。2020年にRBライプツィヒへステップアップを果たした。
初の欧州4大リーグ挑戦ながら、オルモはブンデスリーガでもその攻撃性能を如何なく発揮。同クラブでは最終的に5シーズン在籍し、公式戦148試合に出場。29ゴール34アシストをマークしている。
そして2024年8月、バルセロナはオルモを5500万ユーロ(約93.5億円)で獲得した。同選手は移籍初年度の昨季、リーグ戦25試合10ゴール4アシストを記録。筋肉系の負傷で離脱を余儀なくされた時期もあったが、早速高額な移籍金に見合うパフォーマンスを見せている。
2024年のインタビューでは「クロアチアでは本当に多くを学んだ。僕は16歳のときに、もうワールドカップに出場した選手たちと一緒にプレーしていたんだ」(英紙『SkySports』)と語り、ディナモ・ザグレブでの時間が、心身ともに大きく成長するきっかけになったと話している。
多くのサッカー少年の夢であるバルセロナから一度離れ、異国の地に旅立つ決断は簡単ではない。
しかし、スペインを離れなければ見えない景色、学べないものもあるはずだ。敢えて遠回りしたからこそ、オルモの成長速度は早くなり、バルセロナの攻撃に欠かせない選手へと大成したのだろう。
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