強すぎる欧州王者。パス回しで支配せずとも…
後半が始まってからも、欧州王者の勢いは止まらない。53分、コーナーキック(CK)の守備から始まったカウンターを途中出場のFWフェラン・トーレスが沈めて4点目。57分にはメリーノがハットトリックを達成。62分にはペドリがダメ押しの6点目を決め、ゴールショーを締めくくった。
欧州王者の残酷な強さを目撃し、静まり返るスタジアム。
まず圧巻だったのが、ビルドアップから崩しまでのボール回しに関わる、各選手の選択肢の選び方。後方の選手は決してスピードを上げることなく運び、一列越えた位置で一瞬フリーになる中盤にボールを渡す。
中盤の選手もまず前を向き、広いスペースがあるならすぐ使うし、埋められているなら方向を変え、ボールを前進させる。両翼にはFWニコ・ウィリアムズとヤマルが待っており、相手との正対から一瞬のスピードと方向変化で抜き去り、サイド奥を取る。
フィニッシュワークも圧巻で、サイドの深い位置を取って相手の守備陣がゴールエリアを埋めれば、必ず2人以上が入ってきているマイナスのスペースに、相手にぶつけることなくクロスを供給する。いわゆるスペインサッカーらしいボール回しから、何度もチャンスが生まれていた。
しかしこの日のスタッツを見てみると、スペイン代表のボール支配率はなんと50%。後半に至っては、トルコ代表がボールを支配していた時間の方が長かった。パス回しで試合を支配する印象のあるラ・ロハ(スペイン代表の愛称)だが、この日見せたもう一つの強みとはいったい何なのだろうか。