欧州サッカーは8月に各国のリーグが開幕し、ここまで数試合が終了している。堂安律や久保建英など、開幕からチームの主軸として期待通りの活躍を見せる日本人選手は数多くいるが、一方で本来の能力を見せることが出来ていないタレントも多くいる。今回は、欧州で戦う日本人の中で、不調にあえぎ苦しむ選手たちをピックアップして紹介する。[4/5ページ]
GK:野澤大志ブランドン(のざわ・たいし・ぶらんどん)

【写真:Getty Images】
生年月日:2002年12月25日
所属クラブ:ロイヤル・アントワープ(ベルギー)
今季リーグ戦成績:出場なし
これもゴールキーパーの宿命だろうか。野澤大志ブランドンは移籍から2ヶ月が経つ現在もベンチを温める日々が続いている。
FC東京アカデミー出身の野澤は、2020年にトップチームへと昇格するも、当初は出場機会を与えられず、翌年にいわてグルージャ盛岡へ期限付きで移籍することに。
すると、岩手でリーグ戦の出場機会が増加し、古巣に復帰した2023シーズン後半からはFC東京の正守護神を務めあげるまでに成長した。
190cmの長身を活かしたダイナミックなセーブは、海外の選手にも引けを取らない能力である。
時折試合で見せる致命的なイージーミスさえ減らすことが出来れば、この時から日本屈指のGKへと変貌出来るほどの才能を有していた。
そんな野澤は、今夏ベルギーのロイヤル・アントワープへと加入する。同世代の鈴木彩艶、小久保玲央ブライアンに続き、青赤の守護神も海外挑戦を決意した形だ。
しかし、両者のように加入後即スタメンというわけにはいかなかった。
特に、アントワープは「ネクスト・クルトワ」とも称されるベルギーの至宝、センヌ・ラメンスを擁しており、野澤は加入後4試合をベンチ外で過ごすこととなったのだ。
そのラメンスは今夏の移籍市場でマンチェスター・ユナイテッドへと移籍したものの、正守護神の座は野澤ではなくベテランGKのヤニク・トーレンに移っている。
野澤にとって耐え忍ぶ時期かもしれないが、FC東京でも間欠的に出番を失うことはあった。
出番が訪れるその日まで準備を続け、地道にアピールすることはこれまでの同選手の歩みを振り返ると修羅の道ではないかもしれない。