夏の移籍期間が終了し、各チームの編成がひと段落した。今夏も、マルティン・スビメンディがアーセナルに移籍するなど、近年ラ・リーガの中堅クラブからの国外移籍が増加している。資金力に乏しいクラブにとって、移籍金収入は貴重な収入源だ。今回のランキングでは、今夏十分な移籍金収入を得られなかったクラブを紹介する。※成績や移籍金などは『transfermarkt』を参照。[2/5ページ]
9位:エルチェ

【写真:Getty Images】
移籍補償金等収入:1450万ユーロ(約24.6億円)
退団した選手例:ニコラス・フェルナンデス、ニコラス・カストロ
今季、3年ぶりにプリメーラ(1部)昇格を果たしたエルチェが移籍金収入ワーストランキングで9位に入った。今夏の移籍市場で得た移籍金収入は1450万ユーロ(約24.6億円)となっている。
昇格クラブにとって限られた予算での編成は常に課題だが、エルチェは少ない移籍金収入ながらも、移籍市場での立ち回りはほぼ完璧だったと言える。
昨季の主力であるニコラス・フェルナンデスを800万ユーロ(約13.6億円)、ニコラス・カストロを500万ユーロ(約8.5億円)で放出。経営規模の小さなクラブとしては十分な収入を確保した。
さらに、余剰戦力の整理にも成功し、浮いた資金と枠を活用して経験豊富な実力者を次々と迎え入れている。
ラ・リーガでの実績を持つアンドレ・シウバをRBライプツィヒから100万ユーロ(約1.7億円)、若手注目株のアルバロ・ロドリゲスをレアル・マドリードから200万ユーロ(約3.4億円)という格安で獲得した。
さらに、バルセロナからは出場機会に飢えていたエクトル・フォルトとイニャキ・ペーニャ、セビージャからはアドリア・ペドロサとラファ・ミルをレンタルで補強し、戦力を大幅に底上げした。
結果として、収支では775万ユーロ(約13.1億円)の黒字を計上。第一目標の残留に向け、盤石のスタートを切った。
ここまでリーグ戦では1勝3分けと無敗を維持。ホーム開幕戦では難敵ベティスと引き分け、アトレティコ・マドリードの敵地でも勝ち点1をもぎ取るなど、夏の補強戦略は早くも成果を示している。
昇格組ながらラ・リーガに旋風を巻き起こすのか。エルチェの躍進に期待が高まる。