スタートダッシュに失敗した最大の理由
不振の理由はいくつかある。
多くの要因を占めるのが、今夏の移籍市場での大苦戦だろう。「戦力的なマイナスが少ない」と先述したが、エミ・マルティネスやオリー・ワトキンスを筆頭にマーケットを通して去就が不透明な選手が多く、補強も思い通りに進まなかった。
今夏にアストン・ヴィラが移籍市場に投じた移籍金の合計は3050万ユーロ(約51.8億円)と、プレミアリーグの20クラブの中では最下位だった。
今夏の移籍金の支出額ランキングの欧州トップ10のうち、9つがプレミアリーグのクラブだったこのことからも想像できるように、多くの同リーグのライバルたちが補強によって戦力的なマイナスの穴埋めや上積みを行っている。
最終的には、デッドラインデーにフリーだったヴィクトル・リンデロフ、ジェイドン・サンチョとハーヴェイ・エリオットをローン移籍で獲得(後者は買い取り義務付き)したが、移籍市場が閉まるギリギリでの補強は後手を踏んだ印象も否めないだろう。
本来の彼らは補強が早いクラブであり、2023年夏と2024年夏の移籍市場ではプレシーズンのアメリカ遠征までには主力候補の獲得が完了していた。
準備の段階から上手く進んでいた過去数シーズンとの比較で、難しいスタートを余儀なくされたことには理由が存在している。