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コラム 2か月前

「誇りで胸がいっぱい」いま、クレモネーゼが熱い! “弦楽器の街”が奏でる歓喜の残留へのハーモニー【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

“弦楽器の街”が味わった長い低迷の時代

 クレモナが“弦楽器の街”と呼ばれる所以は、16世紀にこの街で生まれたアンドレア・アマティが、今日まで現存しているヴァイオリンの最初の製作者の一人であったことが理由の一つだ。

 アマティは近代的なヴァイオリン族の楽器の原型を確立した人物だ。そして、もう一人は、前出のストラディバリである。彼の製作した1715年製のヴァイオリン“Baron Knoop”は、今年3月に2150万ユーロ(約36.5億円)で取引され、ヴァイオリン史上最高額を記録した。

 製作からすでに300年以上の年月が経つにもかかわらず、時を超えて今なお美しい音色を奏でる。選手生命が限られているサッカーとは異なり、その価値はまるで永遠のようだ。

 街を歩けば、あちらこちらから弦の調べや歌声が流れる。崇高な空気を肌で感じ取れるクレモナで、クレモネーゼが創立されたのは1903年。はじめてトップリーグに昇格したのは1922/23シーズンだった。

 1リーグ制となったセリエAでは1929/30シーズンを戦ったが、すぐにセリエBに降格。再び、セリエAの舞台に立つまでに、54年もの長い時間を要した。

 1982/83シーズンは、当時19歳で下部組織出身のジャンルカ・ヴィアッリが、セリエBで10得点。彼は昇格を置き土産にサンプドリアに引き抜かれ、イタリアを代表するストライカーへと成長していく。

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